ラピスラズリ03

「ラピスラズリ:竈の秋(1)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


1:
ゴーストソングは人形が怖かった。
彼が知る限りでは他にはそのような召使はいなかった。
割れやすいだけでなくぞっとしていた。
相手にする配置換えは何かの因果だった。
上司のクレイが怒りだしたのは霜月の第3週末でゴーストソングを問い詰めた。
棟開きが遅れゴーストソングが過去の帳簿を調べる事の不満だった。
荷の移動とそれの梱包作業が担当だった。
事務所を追い出されを惜しみ3階に行ったが部屋を間違えた。
奥方の部屋で人形たちを見て逃げ出す時に亡霊を見たと思った。

少年トマニは薪運びに忙しかった。
台所の季節の巡りは毎年同じだった。
秋には食事の回数が増え、冬は薪運びが増えたが竈の火加減は料理人に評判が良かった。
台所は6回の食事の支度で疲労させ、トマニが幼い頃に少女がいたがいつかいなくなった。
1年前表棟の建物に荷物を運んだ事を思いだし、「大滝の間」はどの階か迷わせ、窓からの光景は圧巻だった。
ある人が事務所から追い出された噂をし、トマニは<塔の棟>の四階へ行った日に顔を笑われ少年は影を持った。

「ラピスラズリ:竈の秋(2)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


召使頭のドービッシュは雨でも煙が必要とぼやき、予定が狂い厄日だった。
煙が枯れ葉熱の消毒と奥は思っているらしい。
表庭の大温室は<冬の館>で居心地が良い。
ドービッシュもガラスの檻の中の生活感は相性がよかった。
フルークが庭でゴーストを見るというがドービッシュは開け放ちを嫌い、<森の連中>の一人を匿ったことのあるフルークは害はないといった。
外の人影は中に入れられ人心地ついたが、人形狂いの<冬の館>の奥方への使いは道に迷ったが、館に辿りつけなかったか代金を持ち逃げしたかわからないと言われた事を思い出していた。
ようやく玄関に着くと馬車の後と金切り声が聞こえ、足を取られた所に駆け寄った2人は荷が壊れていたら命がないと言いそれは双子の老婆だった。

「ラピスラズリ:竈の秋(3)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


外庭から離れた園丁小屋に老人と助手がいた。
雨で棟開きができない事に不満な話が誰かしており、ドービッシュは遅れは取り戻せると言った。
召使頭2人を見ながらゴーストソングは逃げる計画が出来ていた。
森に逃げる事は行くあてはなく、現在に至った。
クレイが棟開きを無責任に請け負い、ホランドという使用にからだを刺されたのがドービッシュの最後の記憶となった。
ホランドは借金取りが来たといい、重々しい雰囲気で霜月の4週が始まった。

2階も存在し無人の部屋が多いが人の出入りはあったが話題もどうでもよいものだった。
3階の1室では子供が寝込み、夜の館はどことも判らない闇があった。
トマニは問いかける声に迷うが声は訴え、そして少年は行方不明の去年の荷運びのゴーストに会った。

「ラピスラズリ:竈の秋(4)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


2:
棟開き当日、クレイはホールにいた、錠に鍵を差し込み倒れたドービッシュには特に思いはなく、渡り廊下の光景があらわれた。
掃除後に荷運びをする命令は行き渡っている筈だった。
客は興味深そうだったがクレイは相手出来なかったが客は<塔の棟>の機能が冬に立てこもる事は判るが誰からが判らないと言った。
ホランドがドービッシュが病気といい、クレイは愕然とした。

ラウダーテとアダーチが馬車で戻ってきた姉妹の名だった。
母と冬冬眠の話をした。
誰も聞いていないようだが医師ペグライトは語り続け食堂が餌場に見え、免疫性の強い者は自分への侮辱に感じた。
双子はふたりだけの会話を続け、久し振りに患者が出来てうれしいのだろうと言った。
医師ペグライトは感染者をたどれると喜ぶが、<塔の棟>の結界が出現して視野を塞いだ。
軽い地震のような動揺がきて、人形を心配し、寝ていたゴーストソングがはじめて地震に遭い、何かを見かけた。
ドービッシュの隔離室は施錠されていたが力任せに蹴ると外へ倒れた。
部屋の外へ出たが異様な風体は人目を引いたがつぶやきは理解出来なく、ふいの地震で衝撃を受けた。
トマニは地震の被害が一番大きい所におり恐怖にいた、ホールに駆け込むが通った通路は陥没しかけていた。

「ラピスラズリ:竈の秋(5)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


ラウダーテが目覚めた<塔の棟>は別世界だった。
姉と話す事はたくさんあると思うが考えがまとまらなかった。
医師に憑依したゴーストは雑然とした周囲を示した。
姉妹とゴーストが話しているとホランドが医師を探しに来て、その後に客人スフォルタスが立っていた。
医師は出て行き、客が姉妹に話かけた。

温室番フルークは作業に熱中しやすい性格だった。
台所に来て、ドービッシュや病気や地震の事を聞いた。
霜月4週の台所は人影で一杯だった。
小間使いの娘が廊下におり、ホールに男達がおりそこにクレイがおり足止めに限界で悪寒がし、小間使いの娘はこのようなめに会うとは思わなかったと言った。
ゴーストソングは表棟へ向かい、自分が感染者と疑われているとも聞いていて、医師に連れられるのが最悪で裏口から抜け出す事を考えた。
ホランドは3階の西翼で双子の片割れから他方が眠ったたと聞き、冬眠かと聞いた。
医師は彩色人形を指し身守りかと聞き、ホランドは本来なら誰も見ない冬寝室の光景を見た。
医師ペグライトが納戸から衣裳を引きずりだすと薬を盛られた今年の荷担ぎと人形が落ちて来た。

「ラピスラズリ:竈の秋(6)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


真夜中過ぎでも工事は進展していなく、クレイは翌日行方しれずになった。
ゴーストソングが女の悲鳴を聞くが先を急いだ。
這い上がってゆく人影はにんげん離れしていて屋上につくと走り消えた。
闇で少年の声がした「ゴーストと話をしていた」として「生まれてきたくなかったから、よかった」と。
ホールでは倉庫で板材や横領品や頑丈な箱が見つかったと話していたが、ゴーストソングが指を指した時に二重に分離したと多くが言った。
落ち葉の大崩れが起きてからの数日は混沌とした。

「ラピスラズリ:竈の秋(7)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


3:
熱病は広まった。
秋の終わりの荷台の男女や冬眠者は誰の記憶にもあった。
ただ、双方の区別が判らなくなっていた。
来訪者が感染者を出し、引き揚げた。
表棟では伝染病で届く食事も滞り、気がふれた召使頭は友人にも耳を貸さず、周囲を見ながら小娘は待っていた。
望む結末はわからなかった。

ゴーストの行方はわからなく、自分がなにかも曖昧だった。
事故の夜の事は皆の記憶はばらばらだった。

「ラピスラズリ:竈の秋(8)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


初冬の西風が吹き始め、鍵をしめたらと語りあった。
グレタは召使に知らせて竈の火を落とせると思った。
臨時の避難生活に誰もが構わなくなっており、北棟の窓の破損は修復は無理だった。
ホランドは仲間がクレイの失墜を自分にきせたがり、病気で訳がわからなかった。
ホランドが正面玄関を開けた時に異状に気づくのが遅れ、死者の眼球を見た。
廊下までベッドを並べた所で、ゴーストソングやフルークに声をかけるか迷った。
皆が状況の説明を求めるがよくはわから無かった。
冬棟を閉める声があるが誰が鍵を持っていつか知らなかった。
戸外では強風が落ち葉焚きの残り火から焔を燃え上がらせ拡がっていった。

「ラピスラズリ:竈の秋(9e)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


医師ペグライト=ゴーストは口も自由では無く、希薄な浮遊物となり漂っていた。
出血で体温が下がったラウダ-テを支えて大廊下にでて、娘が落とした鍵を取った。
廊下の奥で燃える顔を持つ見知らぬゴーストで、待ったいた<定め>と言い上半身は燃え上がった。
ゴーストは自分だけが見えて聞こえると悟り、全ての感覚が過去と未来・現在のあらゆる場所に広がるのを感じた。
気づくと始まりの場所へ戻っていた。
秋の日の森の日陰をゆくと園丁らしい老人がおり、なくした名前を探して来た気がして、老人のいう方向に行くと古い石の大竈の上に、永遠の少女或いは木偶の人形を見た、これは秋の枯れ葉ものがたり。

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