ラピスラズリ02

「ラピスラズリ:閑日(1)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


大晦日の前日、<冬の館>で皆が眠りこけていた。
少年が空腹で起き出し調理場の一隅が明るかった。
雪で食物を持って出ていった。

庭園のはずれの小屋に行き、老人を訪ねた。
老人は昔話をして、全員いるかと聞いた。
怪しげな者が混ざる事もある。
老人の体調が気になった。
少年は庭園を通り抜け、これが<冬>と感じた。
そのころ<塔の棟>の奥で呼び鈴が鳴らされたが誰も気づかない。

「ラピスラズリ:閑日(2)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


大晦日の前々夜、雪は降り続け未明に鎮まった。
小娘が小塔の窓でゴーストを見ていて、尋ねた。
ゴーストは相手に触れると亡霊の映像が映った。
娘は薄着で震えだし、冬を知らないだけと言った。
ゴーストを館に入ってよいと言い、ゴーストは許しを得た感覚で内部のイメージが浮かんだ。
この夜から年越しまでゴーストと小娘は関わりを持つ。

大晦日の前夜、ゴーストは娘が眠れないと言い急に唄い、ゴーストには訳が分からなかった。
娘は呼び鈴がならないといい、ゴーストは人を呼びにゆけないと言い、娘が自分で行くしかないと言った。

「ラピスラズリ:閑日(3)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


ゴーストは霜月半ばの頃を思い出したが、今は厳冬で小娘の脱出が課題で、小娘の後をついて行ったが追想のなかに落ちていた。
小娘が突然に叫び、ゴーストは無数の手に引っ張られた。

小娘はゴーストが戻ってこない事が怖かった。
自分はひとり死ぬと思った。
ホールまで行くが開けられないと言われ、空腹と寒さのなかで春まで生き延べる必要を知った。

落下したゴーストは広い空間に出た。
見知らぬ亡霊を見たが、鏡で記憶で谺で定めという。
覚悟をきめよと言った。

「ラピスラズリ:閑日(4)

2003/09:「ラピスラズリ」国書刊行会
2012/01:「ラピスラズリ」ちくま文庫


小娘は塔の小部屋で夢を見ていた。
ゴーストが話しかけたがそれも夢と思った。
窓から屋根に出ると聞いた。

大晦日の明け方から台所でわずかの人が働き亡霊の噂をした。

塔の娘は寝床で暮らし、時を待ち続けた。
ゴーストが誘いに来たが、とても無理と思った。
年越しの深夜、冬の館の奥でひかりが炸裂したはなしが言い伝えられ、屋根から飛び降りた怪我人の小娘を運んだ者はその方角を見た。

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