破壊王
- 「破壊王」について
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1980:奇想天外
2000/06:「山尾悠子作品集成」
全4話からなる長編ですが、初出時は3話まで連載されました。
作者は、「山尾悠子作品集成」で第4話は書けない状態だったと述べています。
百枚の中編が1話でしたが、完結するために、「夢の棲む街I遠近法」で単独の掌篇の「繭」として掲載された。
「山尾悠子作品集成」に収録時に加筆して、「饗宴・抄」という副題をつけて、「破壊王」に掲載されました。
したがって、第4話として扱います。
作者の加筆は有名ですが、あまり細部まで踏み込んでいないが、「繭」は単独か、長編の第4話かは大きな差として扱います。
- 「破壊王:第1話 パラス・アテネ」
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1980:奇想天外
2000/06:「山尾悠子作品集成」
長い旅の隊商は大虐殺に会った、内乱を避けて要塞都市に逃げようとした難民が夜盗に襲われたらしい。
3才ばかりの幼児の前に人の群れが出来た、しばしば1人の子供が生き残る事があり、土地神とよばれ、旅人の守り神とされた。
隊商の先頭にいた子供が、この子供を見て輿から落ち、髭の白い老人は運にまけたと言い、土地の名前・犲王が土地神の子の名前となった。
それから10年。
一位の一行は首都に到着したが翌朝まで二位の居る夏の離宮で待てと言われた、一位の顔を犲王は見たことがなかった。
別の隊商が来たがその守り神は犲王を見て死に、土地神の商談が始まった。
妾腹の二位に犲王は会い狂気を表す印があった、一位は朝に宮殿に移ったが、他は許るされず内乱の噂や天刑病の噂や狼の害や二位の噂を語った。
二位は機織りと言われ織った布は王宮のどこかにあると言われた。
玉座が四つ脚に跳梁されたが獣ではなく、上座に座った二位の後に犲王は犬を見た。
二位と歩けない犲王は犬の背にのり王宮の異人宮(人質のいる所)を往復した、二位は機織りをいつ憶えたかしらず布のが焼かれる理由もしらなかった。
話かけたのが異人宮の狼領の2人であり人々が、2人のどちらかが赤い繭になると信じていると知った。
二位は狼領の一位を探し、二位は領主の命で王宮に行き、犲王は姉の一位に買われ年越祭に犲王は一位のそばに置かれた。
儀式が始まり王位継承者が3人揃うのは数年ぶりで、帝国首都で千年祭典が行われる予定で狼領の一群もいた。
大使が言い始めた、「領主は四度目の婚礼をあげて子をなす、領主が赤い繭とか破壊神とかいうものを引き渡す事を承知」と。
3人の子供を捨てて新たに子をなす決意の老人は退席していて、3人は逃げだし犲王は異人宮に向かう者に連れられおり、二位は犬を放し犲王に何かを言ったようだが、犲王は動ける手段がなかった。
一位が死んで犲王を売った巡礼僧が取り戻したらしかった、犲王は成長して新生したが能力は落ちなかった。
そして同じく新生した狼領の従一位に会い、繭籠もり前に仮死状態になり新生の前後はさまざまと言い、例外は2度の繭籠りと赤い繭とも言った、そして最近畸形に新生して生き伸びられないと聞いた。
犲王の見張りが厳しくなり鎖に繋がれるが反乱者に助けられ連れて行かれた。
赤い繭は都では破壊神と呼ぶが狼領では救世主と呼ぶと聞いたが、いずれにしても異形のものであり、戦が始まった。
皇帝の隊は小国を撃つには大きかった。
宮殿で犲王は新皇帝と肩の子供を見た。
二位を探すとそこは繭だらけだった、中央の布から狼が生まれ、その部屋にいた皇帝に天刑病の兆しが生じた。
前夜祭に狂人と皇帝の異相の世継ぎをみたが皇帝は姿がなかった。
皇帝を探す犲王に現れたのは二位で機に布があり、幼児が皇帝に進み玉座に達した。
幼児は軍船に歩み出し、残った玉座の間では繭が踏み込んだ人によって崩れていった。
刺客は赤い繭を打ち抜いた、繭から射貫かれた子供が現れたがすぐに繭になり、犲王はその繭が破られるまでいつまでも見届ける積もりだった。
感想:架空の世界で登場も(人物かどうかも不明)架空のものばかりです。
そして、次々と作者のイメージに浮かぶ架空の概念が満ちてきます。
そして、そこに「新生」という概念が追加された時に、もう死も生も判らなくなります。
唯一、2度の新生はないというしばりもはずされた時に、物語は収束したというよりも、もっと拡大する予感がします。