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鑑賞日記(2015/05)

楢山節考

雪深い山奥の集落で暮らすおりん(坂本スミ子)は元気だが今年の70歳の冬に楢山まいりが貧しい村の掟で山の神を敬う信心で死を意味し、おりんの夫・利平も母親の楢山まいりの年に行方不明となっていた。
春に、向う村の塩屋(三木のり平)が辰平(緒形拳)の後添を見つけおりんは喜び、辰平にはけさ吉(倉崎青児)ととめ吉(嶋守薫)とユキの3人の子とクサレと村人に嫌われる弟・利助(左とん平)がいておりんの全家族で、楢山祭りの日に玉やん(あき竹城)が嫁に来て、おりんは玉やんを気に入った。
村では家族が増えると楢山まいりや生まれた子を捨て、生活出来る数を合わせ捨てられても育ったヤッコ達が多くいて、犬に夜這いした利助は、自分の死後に村のヤッコ達を一晩ずつ娘・おえい(倍賞美津子)の花婿にさせ呪いを解くという父っつあん(ケーシー高峰)の遺言を聞いた。
秋におりんの家にけさ吉が嫁として腹の大きい雨屋(横山あきお)の松やん(高田順子)を連れて来たが、松やんが芋を盗み雨屋に持って行き辰平は怒るが腹の子を思い抑えたが、数日後に雨屋の父つっあんが焼松(樋浦勉)の家に盗みに入り捕まり、2代続いた泥棒の雨屋は泥棒の血統とされ、村で女房(志村幸江)と長男(岡本正巳)ら一家全員を縄で縛られ生き埋めにされ、おりんに言われ雨屋に戻っていた松やんもいた。
新屋敷の父っつあんが死におえいは遺言を実行したがクサレの利助はぬかし、おりんはおかね(清川虹子)婆さんに身替りを頼んだ。
<以下、隠し字>
晩秋におりんは山へ行くと告げ、その夜山へ行く儀式を照やん(殿山泰司)や勝造(小沢昭一)や集まり作法を伝え帰り、夜が更けおりんは辰平を急がせ楢山まいりに出発し、裏山を登り七谷を越え楢山へ向い、夜も明け漸く到着した楢山の頂上は多くの白骨がありカラスがいた。
辰平は雪が降れば唄の通りだとおりんに告げ急かされて山を下ると、銭屋の忠やん(深水三章)が又やん(辰巳柳太郎)を谷へ蹴落すのを見た、雪が舞りはじめ辰平は山を登りおりんに雪が降り運が良いと言うとおりんは黙って頷き、辰平は山を降りて家に戻るとけさ吉が新しい女を連れ込んでいた。


監督:今村昌平
脚本:今村昌平
原作:深沢七郎
出演者:緒形拳・坂本スミ子・あき竹城・倉崎青児・高田順子・嶋守薫・左とん平・辰巳柳太郎・深水三章・横山あきお・志村幸江・岡本正巳・清川虹子・殿山泰司・小沢昭一・江藤漢・三木のり平・ケーシー高峰・倍賞美津子・樋浦勉・常田富士男・小林稔侍
制作年:1983年


感想: 名前がわかり難いが狭い地域で何となく判って行く。
自然の動物の営みが多く描かれるが、人間との差がどこか悩む。
生き続ける村の知恵が姥捨ての風習となり、年齢のみで死ぬ日が来る。
後半の無言の親子の楢山まいりが淡淡と描かれる。
(2015/05/06)

居酒屋兆治

函館のはずれで兆治こと藤野伝吉(高倉健)は妻・茂子(加藤登紀子)と居酒屋・兆治を開き、兆治は造船所で専務・吉野(佐藤慶)の首切に反発し会社を辞めたが、寡黙で無器用だが店は繁盛し、親友・岩下(田中邦衛)や元の会社の同僚・有田(山谷初男)や部下・越智(平田満)や酒癖の悪いタクシー経営者・河原(伊丹十三)や堀江(池部良)らで賑わい、向いの小料理屋・若草も峰子(ちあきなおみ)がカラオケで客を集め、兆治は店は立ち退きを言われ河原が土地を紹介するが断った。
兆治は昔に年下の恋人・神谷さよ(大原麗子)と思い出があり、さよの牧場主・神谷(左とん平)との縁談に貧しかった兆治は身を引き、さよは今でも兆治を想い若い男と駆落をしたこともあり、ある夜にさよの不注意で神谷牧場が火事になり、さよは姿を消し兆治は小関警部(小林稔侍)と中村巡査部長(三谷昇)から逃がしたと疑われた。
兆治は岩下らとさよを探したが、さよはバーに勤め、兆治は会社を辞め松川(東野英治郎)に弟子入りした事を思いだし、事件が落ち着いた頃にさよが現われ一言残して去り消息が判らなくなった。
居酒屋・兆治は流行っていたが、時々兆治に無言電話があり、松川が店を引越しそれ以前は河原に店が近く紹介した土地を断ったと言い、それだけでないと喧嘩になった。
兆治は相場先生(大滝秀治)を訪ね孤児で妻・多佳(石野真子)にも会い年の差ばかり言われると言い、兆治は岩下と釣りに行き、さよは札幌のバーで越智に会い一夜を過ごし結婚を言われ夫と子がいると言い別の男の事も言った。
兆治は桐山少年(佐野秀太郎)から肩を壊し野球が出来ないと言われ自分の経験を話し、秋本(小松政夫)の妻が死に悪口を言う河原と兆治は殴り合い警察に留置されたが、調べはさよとの関係で警察は放火事件を疑っていた、さよは酒の量が増えて越智に止められたが、血を吐くようになった。 <以下、隠し字>
釈放され店に戻った兆治を茂子と岩下が迎え、峰子からさよをすすき野で見た人が居ると聞くと、昔のさよの写真を引き伸ばし札幌へ行きすすき野を探し、兆治は病院に吉野を見舞うが会えないが後輩で店の客・越智と偶然に会いサリーというホステスに結婚を申し込むが断られたと聞き、写真を見せサリーがキャバレーホステスのさよと知り、兆治はさよの部屋を訪ねた。
兆治はそこで酒で身体を病み静に死んでいたさよを見つけ抱きしめ、警察に連絡し、葬儀で峰子らは賑やかに騒ぎ、兆治と神谷と越智はそれぞれにさよを思い、兆治は店に戻り茂子から人の心の夢は止められないと聞き自分は店と妻と子を残して行けないと答えた。


監督:降旗康男
脚本:大野靖子
原作:山口瞳
出演者:高倉健・加藤登紀子・大原麗子・田中邦衛・伊丹十三・左とん平・佐藤慶・山谷初男・平田満・小松政夫・池部良・東野英治郎・大滝秀治・石野真子・小林稔侍・三谷昇・ちあきなおみ・佐野秀太郎
制作年:1983年


感想: 寡黙に現状を受け入れ、しかし時に思い切る主人公。
どうしようもない生活にすさむ女性と、見守るだけの女性。
それに色々な男女と人の繋がりが絡む。
(2015/05/12)

アディクトの優劣感

2007年、瀬名由季宏(沢村純吉)は恋人・玲加(石井あす香)に言葉を残した。
玲加は、離婚後もやもやしていたが医者は精神安定剤で治ると言い、直って驚き安定剤の虜になった、由季宏の死は1か月前で初めて由季宏のパソコンを見ると遺書らしい物があり、その内容は玲加も知らない由季宏の不思議な文章だった。
ドラッグと踊りにはまり、DJのテンパリ(吉武優)の恋人・ヒノコ(青山華子)に会って気がつくと、電話でテンパリがパくられたと聞きアサミ(チュウ/レイアン)の家で相談し刺激が自分を満たし一人で荷物を取りに行くと大量の薬があり、ドラッグパーティを始め誰かが来て薬を始末するが大家だった。
玲加に話せない無意識の行動が多くあり、ヒノコは陶酔していても由季宏のDJを聞いていて音が脳内麻酔になると言い、ドラッグなしで陶酔できると知り驚きヒノコは12歳下だが惚れた様で何回も楽しみ、店の吉永(渡部遼介)は今の由季宏の生活に気づいており、由季宏はヒノコに溺れていたが終わるとヒノコはテンパリの接見に行った。
玲加にヒノコの話がしたいが週末しか会えないと怒られ、翌日吉永に店で玲加とヒノコの話をしたがヒノコは吉永に親しく、由季宏はどんどん色々な中毒になりヒノコとは主従関係になりセックスレスの関係でいると言われが、いやだと思うと見破られた。
<以下、隠し字>
気持を話す為にテンパリに会いヒノコの事を聞いたが変わった女と答え、ヒノコは死を語り始め、1月後テンパリの裁判が始まり執行猶予狙いで判決で執行猶予がついた。
ヒノコはテンパリと別れ旅に行き、由季宏には何もする事がなく、死の事を考える様になった。
読み終えた玲加は多くの薬を飲み終え、自殺と確認し・・・・・。


監督:藍河兼一
脚本:西永貴文・藍河兼一
原作:池間了至
出演者:沢村純吉・青山華子・チュウ/レイアン・吉武優・渡部遼介・石井あす香
製作年:2007年


感想: 静止画多様の映画は手抜きか昔風か何?、ただ目に悪そうだ。
映画映像自体がドラッグ効果を狙っているのか。
どこまでが本当か、幻想かが判らない文章で進む。
(2015/05/18)

象の背中

中堅建設会社の企画営業部長の藤山幸弘(役所広司)は、末期の肺がんで半年と告知されたが、妻・美和子(今井美樹)と長男大学生・俊介(塩谷瞬)と娘・はるか(南沢奈央)いて仕事のプロジェクトも進行中だった。
幸弘は、長男・俊介にだけ事実を告げ治療しないと言った、父の意思を尊重しようとする俊介であり、俊介にはコピーライターの恋人・青木悦子(井川遥)もいてガンを告げた。
幸弘は松井医師(白井晃)に意志を告げ、思い出の人に会って別れを告げたいと言った。
初恋の・福岡美穂(手塚理美)は幸弘を覚えておらず、プロジェクトは会社方針で中止の可能性もあり、はるかは変と言い、今野社長(伊武雅刀)からプロジェクトの延期を告げられた。
高校時代の親友・佐久間清(高橋克実)は、家業の酒屋を継いでおり、病院で合った取引先元社長・高木春雄(笹野高史)は幸弘の会社で倒産に追い込まれた事を憶えていたが余命が短いといい象になると言った。 会社内で倒れ、幸弘の病名も明らかになりショックな美和子だが幸弘に残された時間を共に過ごそうと考え、幸弘は今野社長に病気を告げてプロジェクトを外れ後任に拘った。
幸弘は退職し、絶縁だった兄・藤山幸一(岸部一徳)に会うと温かく幸弘の望みを聞いてくれた。
<以下、隠し字>
幸弘は家族写真を撮り、海辺のホスピスに入り家族と余命を過ごし、入院患者のひとりとも語り合い、恋人・悦子も来て別れを語り、美和子は複雑だった。
幸一が訪ねて来て本心を語りあい、知らない事も聞いた。
そして、美和子は手紙を読み始め、・・・・・・。


監督:井坂聡
脚本:遠藤察男
原作:秋元康
出演者:役所広司・今井美樹・塩谷瞬・南沢奈央・井川遥・高橋克実・白井晃・伊武雅刀・手塚理美・笹野高史・益岡徹・岸部一徳
製作年:2007年


感想: 人には事情もわがままも、知ってる事も知らない事もある。
余命を知った主人公が、漸く短い期間でそれに気づくが、しかしどこかにわがままも残す。
全く同じ生活の人は希だろうが、何もない人はいないのだろう。
(2015/05/24)

アヒルと鴨のコインロッカー

大学入学で仙台に来た椎名(濱田岳)が引っ越しをし、家(なぎら健壱・キムラ緑子)に電話し、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでいると隣人・河崎(瑛太)に声を掛けられ部屋に誘われ丁寧に呼ぶと親しくなれないと言われた。
同じアパートにブータン人留学生・ドルジ(田村圭生)が住むが広辞苑を贈りたいので、仲間を探していて一緒に本屋を襲う計画を椎名に持ちかけ、ドルジはアヒルと鴨の違いに悩んでいて、又ペットショップ店長・麗子(大塚寧々)に気をつけろとも言った。
ドルジは琴美(関めぐみ)と出会い付き合っていたが、琴美は河崎とその前に付き合っていたと言い、躊躇する椎名だが河崎に誘われモデルガンで本屋を襲撃したが奪ったのは広辞苑ではなく広辞林だった。
椎名はペットショップ店長・麗子からドルジを探していて琴美は店の店員だった、河崎に気をつけろと言い、河崎が病気と聞き、以前のペット殺し事件を聞いた。
<以下、隠し字>
椎名が河崎だと思っていた男はドルジで、本物の河崎(松田龍平)はHIVで死亡し、それ以前河崎・ドルジ・琴美は友であったが、動物虐待グループの車で琴美が死に、その犯人・江尻(関暁夫)が本屋の店員と知り河崎とドルジは復讐を狙うが河崎が病で死に、ドルジは河崎に成って椎名を利用して本屋を襲い江尻に復讐を果たした。
椎名が、家庭の事情で故郷に一時帰ることになり、麗子はドルジに自首を勧め、そして・・・・。


監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
出演者:濱田岳・瑛太・関めぐみ・田村圭生・大塚寧々・松田龍平・関暁生・なぎら健壱・キムラ緑子
製作年:2007年


感想: 映像化の難しい部分を妙な視点で描くので、結果的にまぎらわしい。
文章で読む作品なのだろう。
音楽も小説でも充分効果的に思う。
(2015/05/30)

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