鑑賞日記(2014/08)
- サンダカン八番娼館 望郷
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女性史研究家・三谷圭子(栗原小巻)が訪れたボルネオの北端・サンダカン市は近代化され、からゆきさんがいたサンダカン八番娼館も新しくなっていた。
圭子は3年前に天草で貧しそうな老婆・北川サキ(田中絹代)とあい家に行き、からゆきさんとの確信を持ち、圭子に家に上がり昼寝したからまた寄って欲しいと言った。
圭子は1月後に、サキから過去を聞くために訪ね共同生活を始め、布団はボルネオ綿で、サキは息子からの僅かな送金で暮らし、近所に圭子を嫁と紹介し、1週後に圭子が男に襲われかけた事がきっかけで、サキは過去を語り出した。
1907年、サキ(高橋洋子)が4歳で父が死に母は再婚し、12歳の時に太郎造(小沢栄太郎)はサキらに外国行きで前金300円を渡し、サキはその金を兄・矢須吉(浜田光夫)に送金し、村の仲間・ハナ(中川陽子)とユキヨ(梅沢昌代)とサンダカンへ密航した。
当時のサンダカンは北ボルネオ最大の港町で日本人経営の娼館が9軒あり、太郎造の店は8番館で女中をしたが、1年後にサキは客を取らされ、借金は2000円になり13歳のサキの地獄の生活が始り、客を取るため現地言葉も覚えた。
1918年に竹内秀夫(田中健)と会いサキは再開を約束した。
1927年、呉服屋・矢島(砂塚秀夫)が主人と儲けようとし、日本軍が来て大勢が娼館を埋め、その後太郎造が急死して女将・モト(神保共子)は娼婦たちを余三郎(中谷一郎)に売り渡しプノンペンへ連れて行こうとしたが、新しく八番館の主人となったおキク(水の江瀧子)は2人に減らし、サキとフミ(水原英子)はサンダカンに残った。
サキは秀夫との愛をひとり信じたが、秀夫はゴム園の娘との結婚でサキと別れた。
1930年、おキクは日本進出で羽振りを見せた余三郎と口論し倒れおキクは「日本へは帰るな」と娼婦たちに言い残し、サンダカンで死んだ日本人のために共同墓地を作っていて、自らも葬られた。
サキはおキクの言葉に背き帰国したが、母は死に兄・矢須吉も外聞を気にして避けて日本は故郷ではなくなり、その後満州に行きサキは結婚して男の子を生むが戦争で夫と財産を奪われ、帰国したサキは息子と京都で暮すが結婚に邪魔でサキは天草へ帰され、嫁は一度も天草へ訪ね無かった。
<以下、隠し字>
圭子とサキの生活は3週間続いたが、村人は圭子がサキの実態を書けば村の醜聞が知られるため嫌い、圭子は取材を断念して素姓を明かしサキに詫びたがサキははじめから許していた。
3年後の今、圭子はサンダカンのジャングルの中でおキクらの墓を見つけ供養したが、望郷の思い出死んだ日本人たちだが墓は祖国・日本に背を向けて立てられていた。
監督:熊井啓
脚本:広沢栄・熊井啓
原作:山崎朋子
出演者:栗原小巻・高橋洋子・田中絹代・水の江瀧子・水原英子・砂塚秀夫・中川陽子・梅沢昌代・田中健・小沢栄太郎・神保共子・中谷一郎・浜田光夫
制作年:1974年
感想: 望郷とは何か、故郷へ物理的に帰れない事でない。
故郷が自分を受け入れない為に帰れない事だ。
故郷に受け入れられないままに一生を暮らした女性は、逆に優しく他人を迎えた。
(2014/08/03)
- 阿弥陀堂だより
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春、売れない小説家・上田孝夫(寺尾聰)は、パニック障害の心の病の妻で女医・美智子(樋口可南子)の療養の為にふたりで東京から彼の故郷の信州に移り住む事にして帰ってきた。
村の死者が祀られたお堂・阿弥陀堂に暮らす96歳のおうめ婆さん(北林谷栄)を訪ね、無医村だった村で、週3回の診療を始める美智子の歓迎会が助役(井川比佐志)や村長(内藤安彦)らで開かれた。
翌日から美智子は保育園の一部の診療室で仕事を始め、孝夫は恩師・幸田重長(田村高廣)とその妻・ヨネ(香川京子)を訪ね、重長は末期ガンだが治療を受けず身の廻りの整理をしていた。
孝夫は村の広報誌のコラム「阿弥陀堂だより」でおうめ婆さんの事を読み、美智子と訪問し診察し、冬に便所がないと聞き作ると約束した。
翌日工事を始めた孝夫はコラム執筆者で3年前から喉の病で喋れない娘・小百合(小西真奈美)と阿弥陀堂で会い小説について話し、美智子と幸田を訪れ剣の舞の刀を渡された。孝夫と美智子が釣りをすると奇跡的に連れて、夜に酒を飲んで寝たがこの頃から美智子は睡眠剤を使用しなくなった。
夏から秋へと自然と祭りの中で生活し2人は次第に心癒されていき、半年経ち美智子の診察は評判がよいが、小百合を診察して病状が悪化が判り町の総合病院に入院し、自分の専門で総合病院の若き医師・中村(吉岡秀隆)と相談し、孝夫は小百合の為におうめ婆さんの話しを録音して渡した。
<以下、隠し字>
美智子と中村は小百合を徹夜で看取り色々な事を話し合い村に来た理由も話し、そして手術は成功した。
秋、稲刈りで孝夫は翌年は自分の田を持ちたいと言い、祭りが過ぎ助役が美智子に診療所建設と毎日の診療と計画への参加を求めると美智子は同意した。
ヨネと孝夫と美智子に看取られて重長は息を引き取り、葬式を断っていたのでヨネは阿弥陀堂におうめ婆さんを訪ね、名札を納めた。
冬が来て、孝夫と美智子と小百合がおうめ婆さんを訪ねて小百合の回復を喜び、再び春が来る頃に美智子に子供が出来て、孝夫は祭りで剣の舞を踊った。
春、孝夫は四季は人の一生と同じと思い、孝夫と美智子と小百合がおうめ婆さんを訪ねて阿弥陀堂の前で一緒に写真を撮った。
監督:小泉堯史
脚本:小泉堯史
原作:南木佳士
出演者:寺尾聰・樋口可南子・北林谷栄・田村高廣・香川京子・井川比佐志・吉岡秀隆・小西真奈美・内藤安彦
制作年:2002年
感想: 四季のある自然の中での新しい生活。
それは、夫妻に新しい生き方をもたらす。
元気でふける事、おうめ婆さんの生き方が目標だった。
(2014/08/09)
- 竹取物語
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8世紀、山里で行商人・宇陀(常田富士男)が竹取の造(三船敏郎)の家で女房・田吉女(若尾文子)が金がなく2-3日の病気で娘・加耶(中野美穂)を亡くした知った。
閃光と大音響で竹林山に何かが落下し、竹取の造は加耶の墓のそばで金属物体を見つけると、中の赤ん坊が加耶そっくりの少女に変わったが瞳は青くて水晶球を握る少女を、田吉女は育てようと言い、密偵・理世(中村嘉葎雄)が知った。
金属物体を宇陀が彫金師(山口弘和)から混りけのない金と聞き、宮中で僧上の道尊(伊東四朗)や皇后(岸田今日子)や坂上の太政大臣(浜村純)らが山里の天変地異を話題にし、大伴の大納言(中井貴一)が純金の出廻りを報告した。
加耶(沢口靖子)は一日で17-18の娘になり、竹取の造は別の場所に豪邸を作り移り、加耶の美しさが評判になり、かぐや姫と呼ばれ、安倍の右大臣(竹田高利)と車持の皇子(春風亭小朝)と大伴の大納言の3人が彼女に求婚した。
加耶は長老の家の子守り・盲目の明野(小高恵美)に相談し、蓬莱の玉の枝・火鼠の皮衣・竜の首の玉を持って来た人に嫁ぐ条件を出し、3人は船で出発した。
満月に水晶球を通じて加耶は自分が月とわかり、両親に相談した。
<以下、隠し字>
車持の皇子は細工師の作った偽物を出し、安倍の右大臣は配下の小野の房守(井上純一)が購入した偽物を出すがばれ、大伴の大納言は竜に襲われ外国の船に助けられた。
加耶は水晶球から、次の満月に月から迎えが来ると知り、竹取の造と田吉女は守れないと考え、安倍の右大臣と車持の皇子が加耶を襲うが帰った大伴の大納言が助け加耶は待っていたと言い、田吉女が水晶球を川に捨てるが意味が無く大納言が取り戻した。
帝(石坂浩二)は威信にかけ、月からの使者の阻止を藤原の大國(加藤武)に命じたが、満月の夜に巨大な宇宙船が月から来て、矢は効果がなく加耶は宇宙船の光線の中で上昇した。
監督:市川崑
特技監督:中野昭慶
脚本:菊島隆三・石上三登志・日高真也・市川崑
出演者:三船敏郎・若尾文子・沢口靖子・石坂浩二・中井貴一・春風亭小朝・竹田高利・小高恵美・中村嘉葎雄・伊東四朗・常田富士男・加藤武・岸田今日子・山口弘和・浜村純・井上純一・中野美穂
制作年:1987年
感想: 古典の映像化だが現代風のSF的解釈を入れた。
お伽話しでは省かれている部分を埋めた。
特撮を楽しむのも良さそうだ。
(2014/08/15)
- 痴人の愛
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精油所の技師・河合譲治(小沢昭一)は、上役・波川課長(早川雄三)や同僚(渡辺鉄弥・森矢雄二)から竪物と思われ忠告されるがペットを飼っていると答えた、帰宅時に隣家の花村医師(内田朝雄)に送ってもらった。
実は家で秘かにナオミ(大楠道代)を飼育し、ナオミを両親の了解で引き取り別荘で暮らすと少女の面影が美しく成長し、写真に撮り日記を書くが結婚は考えなかった。
譲治は理想の女にしようとナオミに教養を求めてピアノやイタリア語を習わようとするがナオミは結婚を望み、両親に報告したが姉は風俗で働きナオミを誘った。
譲治の両親も認め正式に結婚したが、ナオミは体は成長するが知性は向上しなく堕落したままで注意すると謝るが直らなく、逆に譲治をからかい遊んだ。
譲治は会社に借金したが、ナオミは学生・浜田伸夫(田村正和)と遊び、勝手に金を浪費し続けるが、譲治は最後は断れなく実家の母・澄江(村瀬幸子)に無心した。
ナオミは譲治とイタリア人のパ-ティに行き、熊谷政太郎(倉石功)や浜田と遊び、譲治の知らないダンスや酒を覚え車を欲しがり、熊谷と浜田を家に誘った。
波川課長や同僚から、ナオミが見境いなく学生を誘って遊んでいると聞かされ譲治はナオミを問い詰めるが、ナオミは潔白と言い肉体で譲治を屈服させるが子供を作る事は拒否した。
ナオミの行動に疑惑をもつ譲治は隣家の花村医師と花村保子(穂高のり子)にナオミの監視を依頼したが、酒屋の小僧(井上大吾)に浜田に連絡させ、その結果譲治はナオミが浜田・熊谷との関係が判り、他にも関係があると言った。
島での熊谷との情事を見た譲治は、口論の末ナオミを追い出し、熊谷も遊び過ぎを注意して別れた。
<以下、隠し字>
譲治は波川課長から遅刻等を注意され、母が重体になり譲治が冗談で批判したら死に、訪ねてきた浜田と飲み、ナオミが男を渡り歩いていると聞いた。
ナオミが譲治の家に服を取りに来たが来るなと断り会社を辞めたが、またナオミが来て誘惑し、譲治は過労と心労で弱り荒れ、花村医師は重傷と言った。
譲治にナオミが現れ、肌をあらわに襟足を剃らすと譲治は狂った様にナオミにすがりついて何でも約束し、ふたりは互いに他に相手はいないと思った。
監督:増村保造
脚本:池田一朗
原作:谷崎潤一郎
出演者:大楠道代・小沢昭一・田村正和・倉石功・村瀬幸子・早川雄三・渡辺鉄弥・森矢雄二・内田朝雄・穂高のり子・井上大吾
制作年:1967年
感想: 何が正常で、何が異常かは時に判らなくなる。
主人公の男は、母のトラウマだったのだろう、見かけと隠れた部分の落差が大きくなった。
そこに幻想を持ち、女性に理想をかってに持ちそして、それさえも判らなくなった。
(2014/08/21)
- サラリーマンNEO 劇場版(笑)
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新城誠(小池徹平)は業界5位のNEOビールに入社し、同期入社早川辰夫(平泉成)と会い、課長・中西一郎(生瀬勝久)に挨拶すると阪神タイガースの応援だけに熱心だった。
先輩営業の川上健(沢村一樹)と、鞍馬さゆり(宮崎美子)に会いに行くと5年通っていて1週間営業しても意味が判らなかったが、新城は課長からある地区の販売促進を任された。
早井俊介(中村靖日)らと合コンしても会社は知られず、会社ではパーティや川柳が流行り、新城はコピー機の紙詰まりで社内のOLたち怒られて、1カ月経っても営業契約0だった。
ゴルフコンペで、業界1位の大黒ビール・布袋社長(大杉漣)に惨敗したNEOビール・根尾幸三社長(伊東四朗)が大黒ビールを抜いてシェア1位を目指すと宣言し、桜木雅子(堀内敬子)が出す安定計画に対して新商品アイデアを全社員に厳命した。
営業一課でも企画会議が開かれ、無重力ビールや枝豆ビールなど斬新かつ珍妙なアイデアが出るが、新城は白石和弘(山西惇)の家の片付けを手伝い妻・時子(麻生祐未)にあいその言葉からセクシービールを提案した。
新城の企画が通り、広報の大橋希美(中越典子)の司会でプロジェクトが始まるが広告会社にしゃべってしまった。
桜木・川上・東雲寺才五郎(野間口徹)・小西健太(池田鉄洋)・田波直子(原史奈)らで色が着色なしのピンクと決まり、川上は鞍馬さゆりの要求で南米に未知の植物を探しにいった。
メンバーは徹夜で仮眠し、遠山幹子(金子さやか)の寝姿と寝言になやまされ完成したが、開発品は中西や白石にもっと工夫が必要と言われたが、メンバーは慣れていた。
新城は新しい材料を提案するが中西に採算性が必要と言われ、反論するとやってみろと言われ、白石宅にセクシー13号を送りメンバーは様子を観察すと効き過ぎだった。
大黒ビールがセクシービールの販売発表し、中西はおっちょこちょい作戦をしたが社長といーちゃん部長(田中要次)は開発中止と言った。
<以下、隠し字>
新城は企画もれの理由が自分と分かり、桜木の情報で中西は皆川に会った。
新城はネットで川上を見つけ、中西から呼び出されプロジェクトの開発再開すると言われるが、新城は参加資格がないと答えたが様子が気になった。
川上が見つけた花の成分で味が良くなり、材料が手にはいると判った。
秘密の開発品を上司が試飲したが味は良いが、大黒ビールの真似は駄目とされたがいーちゃん部長がやりたいと言い、名前を考えはじめ新城は「セクスィー」と思いついた。
大黒ビール社長と秘書・麗子(奥田恵梨華)は多くのタレントを準備し、司会・中山ネオミ(中田有紀)と斉藤豪太(田口浩正)のもとでNEOビールの発表が行われるがフェミニスト団体代表(冨士眞奈美)が会場に来たが川上がイメージキャラクターになりイベントを開いた。
そして、・・・・・・・・・・・。
監督:吉田照幸
脚本:吉田照幸・羽原大介・内村宏幸・平松政俊
出演者:小池徹平・生瀬勝久・平泉成・中村靖日・瀬戸カトリーヌ・堀内敬子・入江雅人・麻生祐未・山西惇・中越典子・野間口徹・池田鉄洋・金子さやか・田中要次・原史奈・・郷ひろみ・伊東四朗・大杉漣・奥田恵梨華・中田有紀・田口浩正・冨士眞奈美・篠田麻里子・沢村一樹
制作年:2011年
感想: テレビのコント番組の劇場版とは意外の展開だ。
それ自体が映画のネタになっている。
映画になると協賛メーカーが羅列するのも意外か当然か。
(2014/08/27)