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鑑賞日記(2013/11)

失楽園

久木祥一郎(役所広司)は編集から閑職の調査室配属になり、鈴木(小坂一也)・横山(あがた森魚)・村松(石丸謙二郎)・宮田秀子(原千晶)と過ごし、親友・水口吾郎(平泉成)は一線の編集者だった。
久木は友人・衣川(寺尾聰)のカルチャーセンターの書道講師の松原凛子(黒木瞳)とあい憧れ、今井美都里(金久美子)のパーティで再会した久木の恋の告白を凛子は受け入れ週末毎に会い深みに入っていった。
ふたりの関係は次第にエスカレートし、凛子の養父が死んだ通夜の晩久木にせがまれた凛子は、夫・晴彦(柴俊夫)や母親の眼を逃れて喪服姿のままホテルで密会して、凛子は罪悪感を持つが、ふたりの気持ちを燃え上がらせ久木は都内にマンションを借りた。
そうした大胆な行動は隠し通せず、凛子の夫・晴彦は興信所の調査で妻の不貞を知るが、あえて離婚しないことで凛子を苦しめようとした。
親友・水口がガンに倒れ、年を取ると覚悟が必要と言ったが短い期間で死んだ。
一方、久木の妻・文枝(星野知子)は静かに離婚を要求し、娘・知佳(木村佳乃)はとっくに知られていると言った。
<以下、隠し字>
久木の会社に彼の行状を暴く告発文が送られ、小畑常務(中村敦夫)から左遷を言われ、久木は辞職し文枝との離婚も承諾し、凛子もまた晴彦や実母との縁を切って久木と暮らした。
雪の温泉宿で久木と凛子は求め合い、毒で心中して発見された時は・・・・。


監督:森田芳光
脚本:筒井ともみ
原作:渡辺淳一
出演者:役所広司・黒木瞳・星野知子・柴俊夫・寺尾聰・小坂一也・あがた森魚・石丸謙二郎・原千晶・平泉成・木村佳乃・中村敦夫・金久美子・
制作年:1997年


感想: 不倫話にしては長く平坦だが、古風な松原家と現代風な久木家の対比も狙いだろうか。
何かの外的要素がきっかけに見えるが、そもそも大胆な繰り返しが続く筈も無く不自然だ。
特に男側のわがままが目立つ。
(2013/11/06)

狼よ落日を斬れ 風雲篇・激情篇・怒濤篇

杉虎之助(高橋英樹)は御家人の総領だったが病弱で14歳で家出し池本茂兵衛(田村高廣)に捨われ無外流に似た実戦的な剣術使いとなり、8年後江戸に戻った虎之助は侍に絡まれた叔父の旗本・山口金五郎(佐野浅夫)を救い、虎之助の武術に幼年時代に虎之助の親代りだった金五郎は驚いた。
女博打打・お秀(太地喜和子)を救った虎之助は京へ行く費用を出し、江戸屈指の心形刀流伊庭道場の伊庭八郎(近藤正臣)と義妹・つや(本阿彌周子)と出会い互いの剣術を認め合い、虎之助を見込んだ八郎は友人が隊長の洛中見廻り組に熱心に口説いた。
国中は勤王と佐幕の抗争で京都では近藤勇(和崎俊哉)や沖田総司(西郷輝彦)ら新選組が池田屋騒動で勤王の志士を殺戮した。
虎之助は恩師・茂兵衛の使いから礼子(松坂慶子)という女を連れて京都に来いとの伝言を受け、礼子は男装の美女で道中2人は薩摩藩士に襲われ虎之助は全員斬った。
京は騒然とし、薩摩の中村半次郎(緒形拳)の示現流は迫力があり、半次郎は出会った尼僧を情婦としたがそれはお秀が名を変えた法秀尼(太地喜和子)だった。
虎之助は乞食のような茂兵衛と再会したが、茂兵衛は幕府の密偵で薩摩藩を探索する身で虎之助にはどちらにも組せず生きて世の移り変わりを見よ、江戸へ戻れと言った。
礼子も公儀隠密で虎之助は京に留まり上洛して来た八郎に会い、法秀尼から探すのを頼まれた半次郎に会い、虎之助・八郎・総司・半次郎で飲み明かした。
西郷隆盛(辰巳柳太郎)が上洛し下級藩士の半次郎を頼みとし、薩摩の囮に引っかかり公儀派が襲われ、茂兵衛も襲われ駆けつけた虎之助の前で死に、仇の東郷直二(今井健二)を斬った虎之助に茂兵衛は礼子と江戸へ帰り仇討ちはせず無駄死するなと言った。
鳥羽伏見の戦いで、八郎や総司ら幕軍は半次郎らの官軍に破れ、皆が江戸に向かうが徳川慶喜は水戸に移り、虎之助は茂兵衛の遺志どうり礼子と江戸で暮らしていたが八郎が虎之助を訪れ上野の彰義隊に加わると誘うが虎之助は断り、上野戦争は幕臣側の惨敗で終わり虎之助とつやが、上野の山に八郎を探すが不明だった。
西郷の指示で半次郎は残党狩りをし、その中で礼子は薩摩藩士・村田以喜蔵(藤岡重慶)に斬られ死に、虎之助は官軍を襲い以喜蔵を斬り逃げた小屋で破傷風に片腕がなった八郎を発見し片腕を切り落とし助けたが、八郎は姿を消した。
沖田総司が胸の病で死に、薩摩藩士を襲った犯人を捜していた半次郎は総司が犯人として調べを止め、虎之助はつやから八郎が函館で死んだと聞いた。
<以下、隠し字>
明治6年、桐野利秋と名を替え陸軍少将となった半次郎は法秀尼を見かけ、髭剃りによった店で虎之助と出会い、法秀尼が虎之助に会いに来てイギリスに行くと伝え、号外が西郷が辞職して鹿児島に戻ると伝え、桐野は虎之助に髭を剃って無くしやり直すと語った。
虎之助は叔父の知り合いの元薩摩藩士から茂兵衛の死の事を聞き、桐野が知っていると聞いて鹿児島に訪ねた。
桐野は当時に剣豪と出会い頭に相撃ちになり、傷ついていた相手は死に自分は胸に大きな傷を負ったと語り、新政府を目指す桐野とそれは時代遅れと言う虎之助の2人は対決したが互いの憎悪が自然に消えていて、虎之助は仇をうつなの師の言葉の意味が判り刀を捨て江戸に戻った。
西南戦争で、西郷と桐野は死に江戸の虎之助の耳に号外の声が聞こえた。


監督:三隅研次
脚本:国弘威雄
原作:池波正太郎「その男」
出演者:高橋英樹・緒形拳・近藤正臣・西郷輝彦・田村高廣・松坂慶子・太地喜和子・本阿彌周子・辰巳柳太郎・佐野浅夫・和崎俊哉・今井健二・藤岡重慶
制作年:1974年


感想: 2h38mの大作だが、まだ短いと感じる。
風雲篇・激情篇・怒濤篇に分けるのが良いと思う。
殆どの人物が死んでゆく明治維新前後で、生きて世の行く末を見る事を師から命じられた男から見る形で時代の変わりと、それが個人を飲み込む様子を描く。
省かざるを得ない部分が多かった。
(2013/11/12)

陽暉楼

太田勝造(緒形拳)と駆落した豊竹呂鶴(池上季実子)は子を残し死亡した。
20年後高知、子供・房子(池上季実子)は陽暉楼の芸妓・桃若となり、陽暉楼の女将・お袖(倍賞美津子)は呂鶴と勝造を取り合ったが呂鶴の娘を高知一の芸妓にして自分の後を継がせるつもりでおり、勝造は「女衒の大勝」と呼ばれ後添いのお峯(園佳也子)と実子で盲目の忠(井田國彦)がおり、大阪に珠子(浅野温子)を囲っていた。
桃若は多くの陽暉楼の芸妓の中でも目立っていたが、女将・お袖の意に反して客を好みで相手し注意されても無視していた。
珠子は勝造に反発し陽暉楼に身を売ろうとしたがお袖に断わられ、桃若に嫉妬を感じ遊廓・玉水の明日楼に身を売った。
大阪・稲宗一家の賭場で勝造は丸子(佳那晃子)に出会い、高知進出を狙う稲宗(小池朝雄)は丸子を陽暉楼に送り、主人・山岡(北村和夫)を篭絡しようとし、丸子は山岡を誘い陽暉楼の芸妓となった。
四国のダンスホールに商工会々頭・前田(丹波哲郎)や南海銀行副頭取・佐賀野井(田村連)らと来た陽暉楼の者は、珠子ら玉水の娼婦らと居あわせ、珠子と桃若はまた悪い関係になり、乱れた状態で佐賀野井から誘われた桃若は、抱きあい過ごした。
陽暉楼を守るため動く勝造を稲宗一家が襲い重傷になるが桃若は見舞わなく、稲宗は珠子を高知から大阪・飛田へと鞍替えさせた。
桃若は定期検査で医者から妊娠を知らされ、妙な咳をするとも言われた。
一命をとりとめた勝造はお袖から稲宗の策略で危ない状態にある事と桃若の妊娠を知らされたが、桃若の相手はパトロンの四国銀行協会々長・堀川杢堂(曽我廼家明蝶)でないといった。
お袖は温泉の山岡と丸子に行き丸子を追い払い、勝造は珠子をとり戻し稲宗の代貸し三好に山岡の博打の借金を返し稲宗一家との縁を切った。
桃若は前田から佐賀野井がヨーロッパへ行ったと知らされるが、子供を生む決心で堀川に彼の子でないと打ち明けたが、承知で子供を認知するつもりだった堀川は気持ちを踏みにじられ縁切りを言った。
<以下、隠し字>
珠子は勝蔵の援助で仁王の秀次(風間杜夫)と一緒になり、高知に店を出した。
桃若は弘子(山口若菜)を産み、子供のために懸命に働くがある日突然結核で倒れ、芸妓の世界の習いで弘子はお袖の世話で里子に出され、お袖は弘子を返して欲しいとの勝蔵の頼みに桃若の振舞を批判し、桃若の臨終の枕もとに弘子を連れて勝造は駆けつけ、秀次・珠子の店を勝造が訪れ桃若の死を告げたが稲宗の手下が襲い秀次は死んだ。
勝蔵と珠子は大阪に行き、駅で勝造は切符を2枚珠子に渡し待たせ、勝造は床屋で稲宗と三好(成田三樹夫)らを射殺したが、追手に刺され死んだ。 駅では、珠子が勝造を待ち続けていた。


監督:五社英雄
脚本:高田宏治
原作:宮尾登美子
出演者:緒形拳・池上季実子・倍賞美津子・園佳也子・浅野温子・佳那晃子・小池朝雄・北村和夫・丹波哲郎・田村連・風間杜夫・井田國彦・山口若菜・曽我廼家明蝶
製作年:1983年


感想: 呂鶴とお袖、珠子と桃若らの女の深い心の争いが描かれる。
その一方で、高知進出を狙う大阪との闘いが描かれる。
間で動く勝蔵はもとより、幾人かは桃若を通して勝蔵の中の呂鶴を感じる。
(2013/11/18)

ベルナのしっぽ

「盲導犬訓練所」で、元永しずく(白石美帆)は「アイメイト(盲導犬)」との対面し、24歳に視力を失い盲導犬とパートナーシップを組むつもろだった。
「ベルナです」といわれ、担当の稲垣道雄(北見敏之)は親しくする様に言った。
一般人は盲導犬に慣れず電車に乗れば駅員(佐藤正宏)もとまどっていた。
しずくは同じく目が不自由な夫・元永隆一(田辺誠一)とベルナを会わせ、母・塚田俊子(市毛良枝)にも会った。
しずくはベルナの力を借り、子供を生もうとし母は子供の責任は親のせいと心配だった。盲導犬へ社会の理解は低くレストランから入店を拒まれたり隣人・鈴木美樹子(根岸季衣)からクレームがついたりし、隆一は穏やかな対応と言うがしずくは強引だった。
昭和57年7月、しずくは隆太を生み、ベルナの助けもあるが、友・伊藤啓子(板谷由夏)のアドバイスで他人に頼る事を考えた。 保育園に隆太を入れようとするが園長・樫山(螢雪次朗)は盲導犬は避けたがったが無理に許可して貰うが、隆太(中村咲哉・鵜澤正太郎)は母もベルナも嫌いと言い、隆一に諭された。
隆太は小学生に入学し、母と盲導犬を紹介した。
ベルナの挙動が変わり、獣医(伊藤洋三郎)は年齢を取り白内障になり、リタイアを勧められ、仕事を辞めさせたいという隆一と家におらせたいというしずくの意見が別れた。
啓子はしずくに盲導犬の事を幼稚園で話す事を勧めたが、まだ余裕はなかった。
<以下、隠し字>
獣医からベルナの片眼が見えてなく限界といわれ、隆太はベルナの目になるというがベルナは知らない内に怪我をしていた。
隆太が母・しずくを連れて外出するが、帰るとベルナが部屋を荒らしており、しずくはベルナと盲導犬の事を話したいと探すが、最初はどこも断られたがある幼稚園で語り始め、次々に語った。
平成5年春、ベルナの癌が見つかり隆太のいた幼稚園で最後の話をしベルナに感謝をし、その1週間後に容体が急変し死んだ。
そして、隆一も亡くなった。
しずくは、隆太にはげまされて新しい盲導犬・ガーランドの助けで隆一の鍼灸院を継ぐ事にした。


監督:山口晃二
脚本:鈴木智
出演者:白石美帆・田辺誠一・市毛良枝・板谷由夏・根岸季衣・北見敏之・中村咲哉・螢雪次朗・佐藤正宏
制作年:2006年


感想: 広くは知られていない盲導犬と目が不自由な夫婦の話です。
主人公は、後半で盲導犬の話をして廻りますが、その繋がりは強いしかし、人と犬の寿命の差もあります。
(2013/11/24)

ありふれた愛に関する調査

ひとり暮らしの探偵(奥田瑛二)は、美人のお天気ねえさんの世界の天気予報を見ることが好きの中年探偵だが仕事の依頼が来た、夫・佐野(四谷シモン)の、妻・雅子(小林かおり)からの不倫調査依頼で、夫は女も子供もいた。
ヤクザ組長の黒崎(津川雅彦)は、グループ内の滝村(川地民夫)と青木(すまけい)の対立関し、黒崎の言葉で探偵は双方を強請るヤクザの抗争に絡んだ。
雅子に、探偵は事実を言えず「相手に子供の有無が知りたかった」と言った雅子と寝てしまい、行為に餓えていたと判ったと言われた。
探偵は初老の男(寺田農)にくしゃみをかけられたと撃たれ、雅子には相手にされなかった。
探偵は黒崎に動かされた抗争の結果を知り、黒崎に仇討ちを見せられて落ち込んだ。
彼に新しい依頼人・テレビのお天気ねえさんの有梨子(池田昌子)が来て、一夜をともにした男を探していた、写真が届いたという、実物にとまどいインテリで娼婦の彼女に見入られた。
ヤク売人・大坪(世良公則)を探し出すが、大坪は恐喝でなくまた会いたいと言った。
有梨子が大坪と会っていると知った探偵は、バーテンの塚原(松澤一之)に大坪を呼び出させた。
<以下、隠し字>
ヤクザと警察に追われる大坪を逃がそうとする探偵だが、大坪は塚原に撃たれ死んだ。
大坪の死を知り、有梨子は探偵から去った。


監督:榎戸耕史
脚本:荒井晴彦
原作:関川夏央
出演者:奥田瑛二・世良公則・池田昌子・津川雅彦・小林かおり・四谷シモン・川地民夫・すまけい・松澤一之・寺田農
制作年:1992年


感想: 何がありふれた愛かは個人の定義だ。
ヤクザ絡みはありふれていないが、探偵が絡む事はありふれていないだろう。
(2013/11/30)

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