鑑賞日記(2013/10)
- ジョゼと虎と魚たち
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大学生の恒夫(妻夫木聡)は深夜に麻雀屋でアルバイトをしていたが、客の話題は最近見かける謎の老婆(新屋英子)が明け方に乳母車を押す事と荷物が何かだった。
帰りに恒夫は乳母車に遭遇し、止まった乳母車の中を覗くと包丁を持った少女・久美子(池脇千鶴)がいて、歩けなく病身の老婆の孫で近所に隠していた。
恒夫はふたりの家に行き朝食を食べ、少女に名前を聞くとジョゼと言い興味を持った。
恒夫は大学でノリコ(江口徳子)と付合い、同級生・香苗(上野樹里)にも好意を持ち、福祉関係就職希望の香苗との会話で脚の悪いジョゼの事を話した。
恒夫は弟・幸治から故郷から届いた食物を受取、持ち込んだりしてジョゼを度々家を訪ね部屋には祖母が拾ってきた本があり、サガンの「一年ののち」の続編を読みたいと聞き「すばらしい雲」を古本屋で探し出した、ジョゼは夢中で本を読んだ。
香苗から聞いた福祉補助金申請したり、乳母車にローラーボードをつけてジョゼと街を走り、ジョゼが息子と呼ぶ幸治(新井浩文)に会い、昔の保育園の話を聞いた。
祖母から昼間に出掛けては、ばれると怒られたが、国の補助金でジョゼの家の改築工事が建築主任(板尾創路)が始め香苗が見学に訪れ恒夫との会話を、押入れの中でジョゼが聞き、祖母に二度と来ないように言われた。
就職活動中の恒夫はジョゼの家の改築工事をした会社へ行き、工事をした現場主任からジョゼの祖母が死んだ事を聞いた。
<以下、隠し字>
恒夫はジョゼの家へ行き、ジョゼは恒夫を家にいれて暮らしぶりを淡々と語るが、恒夫の言葉に怒るが帰ろうとするのを止めて、ふたりは互いに抱き合うがジョゼは初めてであった。
二人は動物園で虎を見たがそれはジョゼの夢で、恒夫とジョゼは一緒に暮らし始め、香苗は恒夫がおかしいと言った。
1年後、恒夫とジョゼは水族館に行くが休みで海に行きその後に「魚の館」というホテルで魚の絵のライトの中でベッドに入った。
数ヶ月後に、恒夫は家を出てジョゼと別れ香苗と会い、そして・・・・・・。
監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
原作:田辺聖子
出演者:妻夫木聡・池脇千鶴・新屋英子・上野樹里・江口徳子・新井浩文・板尾創路
制作年:2003年
感想: 暢気で先を考えない生活の大学生の恒夫にとっては、同級生もジョゼも興味の対象だった。
ジョゼは気持をなかなか出さず、自分を守り抑えつづけるが。
それぞれにとって、1年半はどのような意味かは、個々の想像に任せられる。
(2013/10/01)
- ふくろう
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1980年頃満州から引き揚げ東北の山奥の希望ヶ丘開拓村に入植したが不毛で去って行き、ふたりだけ残されたユミエ(大竹しのぶ)と17歳の娘・エミコ(伊藤歩)は飢えに苦しみ限界で決意をした。
ダム工事現場から男(木場勝己)が来て売春で稼ぎ毒入り焼酎で殺した。
漸く電気を復旧させると電気屋(六平直政)が来て同様に殺した。
ダム工事現場の監督(柄本明)が行方不明者を捜しに来たが同様に殺した。
電気屋上司(魁三太郎)が行方不明の電気屋を探しにくるが、同様に殺した。
止まっていた水道が使える様になり、水道屋(田口トモロヲ)が来たが同様に殺した。
麓の巡査(池内万作)が行方不明者を捜しに来るが売春で丸め込んだ。
ところがある晩、県の引揚援護課の若者(蟹江一平)が父の政策の失敗を誤りに来て、娘が相手をすると自殺すると言い残して去った。
ダム工事総監督(原田大二郎)が二人を探しに来てもめるが、結局は同様に殺した。
引揚援護課の若者(蟹江一平)が死にきれずまた戻ってきて母娘はとまどっていると、巡査が来て、若者を部屋に隠し、娘がうまく身元証明書を書かせて別の部屋に入れが、そこに一旦は村を出たエミコの初恋の少年・浩二(大地泰仁)が来たので巡査をもう一つの部屋に入れた。
<以下、隠し字>
浩二は村を出てから訪れたまでを話すが聞いていた巡査ともめてそれに引揚援護課の若者も加わり大騒ぎとなった。
そして、母娘は開拓村を出たが、1年後開拓村の庭から、9体の白骨遺体が発見された。
捜査を進める警視(塩野谷正幸)たちは何も判らなく、・・・・・。。
監督:新藤兼人
脚本:新藤兼人
原作:新藤兼人
出演者:大竹しのぶ・伊藤歩・池内万作・蟹江一平・大地泰仁・塩野谷正幸・木場勝己・六平直政・柄本明・魁三太郎・田口トモロヲ・原田大二郎
制作年:2003年
感想: 舞台劇になりそうな、閉ざされた場所でのストーリー展開だ。
過去や他所の出来事がすべて会話で話される。
そして皆が色々な不満をまた話す。
(2013/10/07)
- 花よりもなほ
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元禄15年、徳川5代将軍綱吉の頃、赤穂浪士の仇討ちが大きな関心ごととなっていた。
信州松本から江戸にきた青木宗左衛門(岡田准一)が貧乏長屋に住んで2年が経つが、宗左は父を斬り江戸へ逃げた金沢十兵衛(浅野忠信)の仇討ちが目的で成功すれば報奨金が出るが今では仕送りも途絶えてきていた。
宗左は剣の腕はなく長屋の遊び人・そで吉(加瀬亮)に負かさ、貞四郎(古田新太)や平野次郎左衛門(香川照之)にあきられていたが、向かいに未亡人・おさえ(宮沢りえ)と息子・進之助(田中祥平)が住み恋心も有った。
宗左は寺子屋を始め、おのぶ(田畑智子)が学ぶが、一方長屋に赤穂の侍が治療院の小野寺十内(原田芳雄)のもとに患者を装って集まる男たち・鈴田重八郎(遠藤憲一)・横山勘平(田中哲司)・神崎与五郎(中村有志)らは、一向に仇討ちしない宗左を間者と疑い同士・寺坂吉右衛門(寺島進)に探りを入れさせた。
相手探しを頼まれていた貞四郎は金沢を見つけていて宗左も知っていたが、人足で妻子と暮らす金沢と楽天的な長屋の住人たちと、剣術の腕がない自分とから、仇討ちに迷いがあった。
<以下、隠し字>
叔父・青木庄三郎(石橋蓮司)が宗左に会いに来て、おさえらと会い法事に宗左を国に連れて帰るが仇討ちだけが全てでないと言った。
暮れに長屋の大家・伊勢勘(國村隼)は建替えのため立ち退きを告げ、宗左は住人の協力で仇討ちの芝居で藩から報奨金を取ろうとして成功した。
その晩に赤穂浪士が吉良邸へ討ち入り、小野寺ら浪士は全員切腹になり長屋は浪士の住まいとして見物商売が流行り、宗左と親しくなり仇討ちの虚しさで抜けた寺坂は討入りの事を郷里の人に告げる命令を受けたと言って帰った。 そして、・・・・・・・。
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
原案:是枝裕和
出演者:岡田准一・宮沢りえ・古田新太・香川照之・田畑智子・遠藤憲一・田中哲司・寺島進・原田芳雄・加瀬亮・浅野忠信・田中祥平・中村有志・石橋蓮司・國村隼
制作年:2006年
感想: 二つの平和な時期の仇討ち騒ぎをえがく。
一つは赤穂浪士の仇討ちで、これが裏になっており、微妙な内容になっている。
そして主人公の仇討ちだが、討つ方も追われる方も、平和な暮らしの中で必然性を失ってしまった。
(2013/10/13)
- ギプス
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松葉杖にギプスの女・長谷川環(佐伯日菜子)の手助けがきっかけで彼女の不思議な魅力の虜となった大下和子(尾野真千子)だった。
環のギプスが男たちの気を惹く偽物と知るが環を理解するため彼女に奉仕することに喜びを感じていった。
ある日、環が男・沖島(手塚とおる)を殺害し、尾行していた和子は証拠を持ち去り掃除機に隠し、環を強請ったが環は要求額500万の入手を、和子がギプスをはめ男を誘い環がスタンガンで気絶させ財布を奪う事で行った。
ある時、環は和子を助けに来なく和子は危険をぎりぎり逃げた。
環は和子に止める事を持ちだし、和子は理解出来ず環の言葉道りに車を交通事故にあわせた、二人は大怪我をした。
<以下、隠し字>
1ヶ月後、退院したふたりの関係は和子の車椅子を押して歩く環に行き先を命じる和子になっていたようだったが、環は和子の部屋を掃除して掃除機を修理したと言った。
監督:塩田明彦
脚本:堀内玲奈・塩田明彦
出演者:佐伯日菜子・尾野真千子・山中聡・津田寛治・黒沼弘己・手塚とおる
制作年:2000年
感想: 妄想と同姓に関心を持つ主人公の女性達と、無機質に描かれる男のギャップが奇妙だ。
(2013/10/19)
- 約三十の嘘
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大阪駅構内に集まる詐欺師たち、久津内健二(田辺誠一)は今回のプロジェクトのチーフで社会心理学まで学び、ヤリ手詐欺師・佐々木健二(妻夫木聡)は、酒癖が悪く酔って転び鼻を白いガーゼで覆っていた。
志方大介(椎名桔平)は、かつてのカリスマ詐欺師だが今は面影なしで美貌の女詐欺師・宝田真智子(中谷美紀)と今回チームに初参加の横山宏紀(八嶋智人)だ。
大阪駅から札幌行きの豪華寝台特急トワイライトエクスプレスのスーパー・スイート・ホーム901号室で打ち合わせが始まり、帰りは用意した白いスーツケースが札束で詰まる予定だった。
役割が決まって行き、手品はないから今井優子(伴杏里)と三年前の苦い記憶がよみがえり、ある仕事に須藤という男を連れてきた今井は、売上のお金と姿を消したのだった。
京都駅で、久津内がその今井を連れてきて、今井は泣いて謝り宝田は責めたが手品の腕で男らは参加させた。
北海道での仕事は大成功を遂げ、帰りの大阪行きのトワイライトエクスプレスの行きと同じ901号室、白いスーツケースの中に7千万円があり恒例でスーツケースを持つ人と鍵を持つ人を別にしてお金の管理を行う、鍵は5本で1本が本物で誰が本物かはわからず、横山がスーツケース担当して残り5人が鍵を1本ずつ持った。
久津内がぬいぐるみを着て踊り、新チーフで頑張ったのは新参の横山で別室で今井を口説こうとしていた、別室の宝田は佐々木に好意を持ち志方にも気になっていた。
今井が部屋を志方達の所に変わり、夜が明け大金の詰まったスーツケースが消え、ねいぐるみが移動しその下にスーツケースがあったがどの鍵も合わなかった。
荷物検査をはじめ、宝田は今井を疑うが横山と久津内から誘われたと答え、宝田のポケットから鍵が見つかりスーツケースの金は無かった。
<以下、隠し字>
佐々木は志方に誰もスーツケースが2つあると思わないといい、志方が宝田のポケットに鍵を入れて、金沢で降りると言った。
宝田は志方の行動から鍵のトリックに気づき、佐々木は酒に酔いつぶれ車掌(田中耕二)から部屋のキーを受け取り、2つめのスーツケースを見つけたが空だった。
監督:大谷健太郎
脚本:大谷健太郎・渡辺あや・土田英生
原作:土田英生
出演者:椎名桔平・中谷美紀・妻夫木聡・田辺誠一・八嶋智人・伴杏里・徳井優・田中耕二
制作年:2004年
感想: 詐欺師仲間の金の奪い合いだ。
チームで仕事をしたい者もおり動機が変わってゆく。
(2013/10/25)
- すべては海になる
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書店員の千野夏樹(佐藤江梨子)は、作家志望で小さな時から恋愛小説を読み純文学中心のコーナーを担当していたが、出版社編集・鹿島(要潤)に誘われて書評を書き、夜を共にした。
千野は挙動不審の女性が万引きをしたと勘違いして、店長・蓮沼(松重豊)と謝罪に訪問したが、そこの主人は高飛車に慰謝料を言い出した。
翌日、息子・大高光治(柳楽優弥)が書店を訪れ、もう謝罪の必要はないと千野に告げた。
鹿島は「小島小鳥の冒険」という本の書評を求めるが、千野は後半に違和感を持ちながら無難な内容にしたが不満だった。
千野は、大高に呼び出されたが、光治は崩壊寸前の家族を見せて父と千野の前で殴い、光治は学校でも他と打ち解けられずいじめにあっていて、大きな傷を負った時に千野に電話し、千野は学校に探しに行き気持を聞いて助けた。
「小島小鳥の冒険」が売れてサイン会を行い、千野は作者に最後の違和感を聞くと作者は自分は一度死んで今は売れる目的で書いており崖ぷちで書いた小説の最後は千野のいう通りだったが編集の意見で変えたと答えた。
<以下、隠し字>
書店に大高の母が来て様子が変で光治に知らせると、万引きの現行犯で警察が捕らえ、光治が通報した事を父はなじって殴った。
千野は光治を病院に連れたあとで自分の家に連れて行き誘うが、光治は悩んだ後で立ち去り千野は後を追い、三崎の海に行き話していると、係の男からそこは満潮で海の中になると注意され、ふたりは苦しみの先に何があるか考えそれでも生きて行くと思った。
監督:山田あかね
脚本:山田あかね
出演者:佐藤江梨子・柳楽優弥・要潤・松重豊
制作年:2010年
感想: 虚構の恋愛小説・純文学への憧れと現実のギャップになやむ主人公と、上辺だけを繕う家族とただ楽しみで遊ぶ同級生に悩む青年がやがて、共通の悩みと感じて行く。
結論はないが、それを得るには苦しくても生きて行くしかなさそうだ。
(2013/10/31)