鑑賞日記(2012/08)
- 黄金の犬
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昭和53年、北守ら2人は愛犬ゴロと北海道で熊狩中に熊に襲われゴロとはぐれた。
男2名がヒッチハイクで逃亡していたが殺人者に襲われ、記者・大橋(三谷昇)は殺され、通産省課長・永山勇吉(夏木勲)は逃げて、ゴロと会い助けた。
東京では永山の妻・順子(池玲子)が襲われた。
永山は汚職事件に巻きこまれ、それを知った記者・大橋と共に殺し屋・田沼(地井武男)達に狙われ逃亡していた。
永山とゴロが旅中に、ニュースで妻・順子が殺し屋に殺されたと知ったが、餓えたゴロがアザラシと戦い肉を食べるのを見て「生きる事は戦う事」と知り汚職事件の証拠のマイクロフィルムをゴロの首輪に付けた。
東京に向かう永山は、襟裳岬近くで暴漢に襲われかけた女性を救うが新聞報道で居所が知れた。
釧路での大橋殺害事件捜査中の安高警視(鶴田浩二)と倉田刑事(森田健作)は永山の関与をつきとめた。
新聞を見た安高とゴロの主人の北守礼子(島田陽子)は青森で待つが、先に殺し屋・田沼たちが永山とゴロを襲った。
選挙戦で青森にいた政党の長老・遠沢要一(小沢栄太郎)と秘書・後藤(待田京介)は汚職の黒幕であったが安高の取り調べを権力で阻止した。
礼子はゴロを探しに八甲田に行くが遠沢配下の殺し屋・田沼らに捕まり罠に使われた。
後を追った安高と倉田は礼子を救出するが、殺し屋・田沼に安高は重傷をおい、倉田は殺された。
永山とゴロは、花巻で溺れかかった少女を救うが新聞に写真が載り、殺し屋・田沼に襲われ永山は殺されたが残した血文字から安高はマイクロフィルムのありかを知り、水木刑事(藤巻潤)が応援に来た。
ゴロは死期の近い女性・片瀬京子(三田佳子)に救われ、京子は弟(坂東正之助)にゴロを東京へ船でつれて行くことを頼み亡くなった。
安高と礼子は田沼の罠にひっかかり捕らえられ、石巻から船に拉致されたがその船にはゴロも乗せられていた。
水木は巡視艇とヘリを使い船を追い、安高と礼子を救出したが田沼は船を爆破して逃走し、ゴロは行方不明になった。
東京に着いた安高は免職となり水木は熊本に左遷になった。
安高は通産省阿形局長(岡田英次)を脅し、永山殺害犯人の名を自白させたが局長は自殺し、録音テープのみでは証拠にならないとされた。
<以下、隠し字>
テレビの天気予報の背景にゴロが移り、安高と礼子はそこに向かうが、田沼達が先にオートバイでゴロを洞穴に追い詰め爆破した。
遅れて来た安高と礼子に会い、礼子を人質にした。
監督:山根成之
脚本:白坂依志夫・加藤盟
原作:西村寿行
出演:鶴田浩二・島田陽子・夏木勲・地井武男・三田佳子・小沢栄太郎
制作年:1979年
感想: 北海道から東京への各地が舞台のスケールの大きいストーリーだが、刑事と殺し屋が共に遭遇する偶然性が繰り返されて、人が多く死ぬ。
主人公が永山・安高・礼子と移り分散した感じがする。
全編を通して登場する、犬のゴロと殺し屋田沼が本当の主人公に見える。
従って、ゴロと田沼の戦いの話だろう。
(2012/08/01)
- 八日目の蝉
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秋山恵津子(森口瑤子)「4歳の子供には実の夫婦が判らない、恵理菜(井上真央)が戻ってからもその前の4年間の苦しみが続いた」。
野々宮希和子(永作博美)「子供を産めなくなり空になったが秋山夫妻の子供を見て人生を変える積もりが、赤ん坊をさらいその子に不倫と流産を許した笑顔を見た気がした」。
1995年10月秋山丈博(田中哲司)・恵津子夫婦の赤ん坊・恵理菜を誘拐して逃亡した希和子の論告求刑後、希和子は「4年間の喜びを感謝する」と言った。
妻帯者の丈博の子供を身ごもり産めなかった希和子は、秋山夫妻の赤ん坊を誘拐した。
恵理菜は大学生でひとり住まい、安藤千草(小池栄子)が誘拐時の事を聞きに来たが殆ど思い出がなく、今は岸田(劇団ひとり)という妻帯者と不倫状態だ。
希和子は赤ん坊を薫と呼び逃亡し、途中に過去の秋山夫妻の酷い仕打ちを思い出した、そしてエンジェルホームという団体のエステル(市川実和子)に会った。
恵理菜は父と会うが母とは長く会っていない、4才からの3人の生活は歪んでいる。
エンジェルホームの代表・エンジェル(余貴美子)は女性のみで暮らす団体を行っていて希和子は助けを求め名前を貰い2人そこで暮らした。
恵理菜は「全部の蝉が7日で死ぬならよいが仲間外れは寂しい」という、岸田の子供を宿すが面倒から逃げる岸田には言わない、千草は自分もエンジェルホーム出身で男を知らないと言い取材旅行を提案する、恵理菜は母に「希和子のように抜け殻になりたくないので子供を産む」と言い、千草とエンジェルホームに行くが閉鎖されている。
エンジェルホームにカルト集団の疑いで取り調べが入るため、希和子は薫と逃げエステルは本名の沢田久美の住所を渡した。
恵理菜・千草は思い出をたどり小豆島に向かう。
希和子と薫は、小豆島で沢田昌江(風吹ジュン)・沢田雄三(平田満)と会い、そこで働く事になった。
恵理菜はエコーで子供を見、千草は「八日目の蝉は仲間と違う何かが見られるかも」と言う。
<以下、隠し字>
希和子・薫は島暮らしに慣れたが祭りでカメラマンに写真を撮られ全国紙に優秀賞で掲載された、写真を見た希和子は薫と、写真館の滝(田中泯)に2人の写真を撮ってもらい、薫を連れて島から逃げようとするが、桟橋で逮捕された。
恵理菜・千草は沢田の家に行くが廃業している、恵理菜は写真館を思い出し滝から5年前に希和子が写真を取りに来たと聞き、焼き増しの写真を見て過去を思い出す。
恵理菜は自分の気持ちに結論をだす。
監督:成島出
脚本:奥寺佐渡子
原作:角田光代
出演:井上真央・永作博美・小池栄子・森口瑤子・田中哲司・市川実和子・余貴美子・劇団ひとり・平田満・風吹ジュン・田中泯
制作年:2011年感想: 大学生の秋山恵理菜の視点と、20年から15年前の野々宮希和子の視点から交互に描かれます。
恵理菜の視点では、4才からの実親子の歪んだ生活が思い出す。
野々宮希和子の視点では、赤ん坊の恵理菜を誘拐する前の、秋山丈博との会話と秋山恵津子が登場する。
4つの時間の異なる話が、カットバックで登場しながら、次第に何があったのかが明らかになる。
育ての母で誘拐者と同じ不倫の子供を身ごもった恵理菜の気持の行方も描かれて行き、最後に前向けに結論を出す。
(2012/08/07)
- 遥かなる山の呼び声
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北海道根釧原野で、風見民子(倍賞千恵子)は息子・武志(吉岡秀隆)と亡夫の残した牧場で牛飼いしていた。
冬から春の雨降る夜に一人の男が訪れ納屋に泊めたが、その晩牛のお産があり男は手伝い翌朝去った。
夏が来て、その男がきて働きたいと言った、田島耕作(高倉健)と名乗り条件は問わないが訳は聞かないで欲しいと言った。
男手のない民子は雇い、納屋に寝泊まりし働いたが牧場の経験があり、武志はすぐになついた。
近所で料理店をする虻田(ハナ肇)は民子に惚れていて迫るが耕作に止められた。
本家で夫の法事があり皆心配するが、民子は牛飼いを続けると言った。
虻田は2兄弟(神母英郎・粟津號)と、耕作に決闘を挑むが簡単に負けて、それから耕作を兄貴と慕った。
民子が腰痛で入院し、虻田3兄弟が手伝いに来た、武志は寂しくて耕作と納屋に寝るようになり、耕作は「男はがまんする時もある」と言った。
民子が退院してから、従弟の勝男(武田鉄矢)と妻・佳代子が新婚旅行で博多から訪れ、民子は昔に博多から北海道に駆け落ち同然に来たと言った。
秋になり、耕作の兄の駿一郎(鈴木瑞穂)が函館から耕作を訪ねた、耕作が起こした事件で教職を止めており、耕作を心配していた。
耕作は武志に馬の乗り方を教え、自分は民子の馬で土地の草競馬に出て優勝した。
観衆に刑事がおり、その夜耕作は民子に「二年前に妻が金を貸りて自殺し、悪く言った高利貸を殺し逃げていた」と打ち明け、牧場を出ると言った。
夜更けに耕作が民子を起こし、牛のぐあいが悪いと知らせ徹夜で牛の看病をした翌朝に耕作は家の前に来たパトカーへ自ら向かった。
<以下、隠し字>
冬、裁判で耕作は2-4年の刑を受け、拘置所へつれられた。
美幌の駅で虻田と民子が近くに乗り込み、「民子が武志と中標津の町に出て、耕作の出所を待つ生活を始めた」と民子と虻田は告げた。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次
出演:高倉健・倍賞千恵子・吉岡秀隆・ハナ肇
制作年:1980年感想: 北海道の自然と四季を描いた作品です。
その中で妻を亡くしてた男と、夫を亡くした女が出会う。
男は自分の訳を語らないが、女の息子と仲良くなる。
そして、去らなければならなくなるが短い期間で心は繋がっていた。
(2012/08/13)
- 夕凪の街 桜の国
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『夕凪の街』
昭和33年の夏の広島。
平野皆実(麻生久美子)は会社から母のフジミ(藤村志保)の家に帰ったが、弟・旭(伊嵜充則)を水戸に疎開させていた。
皆実は会社の同僚の打越(吉沢悠)から告白されるが嫁に行けなかった、皆実は母と共に、原爆の傷を持っていたのだ。
皆実は次第に病に冒されたが、5才の弟が帰省し打越も皆実が生きていて欲しいと願った。
しかし突然、皆実に原爆症が現れ倒れた。
『桜の国』
平成19年、夏の東京。
石川七波(田中麗奈)は弟・凪夫(金井勇太)と父親・旭(堺正章)と暮らしていた、祖母・フジミと母は亡くなっていた。
最近父の挙動不審を心配していて、ある夜に出かけていく旭を追うと駅で切符を買っていた。
たまたま小学校の同級生・利根東子(中越典子)と出会い、二人は旭の後を追った。
電車から長距離バスへと乗り換えた旭の行く先は広島だったが、七波はバス中で17年前に母が倒れた頃を思い出した。
父は色々な家を訪ねてある洋服を見せ、平野家の墓に参り、被爆地蔵に詣り、老いた打越(田山涼成)に会った。
七波は旭の立ち寄る土地や会う人々を見ているうちに、祖母のフジミや叔母の皆実への思いが生まれた。
旭は広島大受験の為に母・フジミを訪れ、やや知恵遅れの太田京花(粟田麗)に勉強を教えていた。
七波は祖母のフジミから叔母・皆実や母の事は何も聞いていなかった事を感じた。
祖母は叔母に、被災者の結婚に反対していた様だった。
父・旭と共に自らのルーツと合った七波と、原爆の結果を見つめた東子はそれぞれ知らなかった事を知り新しい考えを持った。
父は原爆資料館を訪れ、夜行バスで帰宅に向かったが、東子は七波に弟・凪生(金井勇太)と交際し親から被爆者の血筋の理由で反対されていた。
翌朝東京に戻った七波は弟・凪生を呼び東子に会わせた。
帰宅時の電車で父・旭と一緒になり、父・旭は母・京花と結婚をして七波が生まれて来た事を思い出しながら、父は七波の尾行を知っていた事や叔母の皆実の50回忌に皆実を知っていた人に会いに広島に行った事を語った。
監督:佐々部清
脚本:国井桂・佐々部清
原作:こうの史代
出演:田中麗奈・麻生久美子・吉沢悠・伊嵜充則・中越典子・堺正章・藤村志保・金井勇太・田山涼成
制作年:2007年感想: 原爆がもたらした多くの傷跡が長く続き、何も知らない世代になってもまだそれが残っている現状を描く。
過去を知る事で、前向きに向かう事が出来ると主人公達は知る。
(2012/08/19)
- 同窓会
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「勘違いは、人生最大の悲劇であり、喜劇だ。」
映画製作プロデューサーの南克之(宅間孝行)は、年下の女優・大崎めぐみ(佐藤めぐみ)と不倫関係になり、高校時代の恋から結婚した妻・雪:旧姓:友永雪(永作博美)に、離婚話を持ち出したら妻はあっさり承諾して成立した。
克之は高校時代から雪に大崎という好きな同級生がいたと思っており、雪は子供が出来ない事を後めたく思っていた。
雪は夫の浮気を知っていたが、東京の出版社で働く同級生・石川えり(鈴木砂羽)と話して新しい生活を目指した。
友永雪は、長崎・島原の高校時代から人気があり多くの同級生に思われており、同級生・浪越文太(二階堂智)は克之の離婚を怒った。
雪は、体調を崩して入院した。
映画のロケ地探しも兼ねて長崎の実家へ戻った克之は、父・ひろし(笑福亭鶴瓶)と母・美佐子(うつみ宮土理)に離婚を報告したが、自分の部屋には昔の8ミリフィルムや、渡せなかった雪へのラブレターがあった。
20年前の高校時代に克之(兼子舜)は映画研究会で、ヤンキーの文太(渡辺大)らに悩みながら、水泳部の主将だった友永雪(尾高杏奈)に初恋したが、雪は中垣と一緒の事が多く告白しないままに卒業したが、数年後の同窓会から雪と交際した。
東京の事務所に戻った克之は関連会社の不渡りで、自分の会社も危機になっており、一緒になる筈の女優も別の俳優と逃げていた。
石川えりから克之に電話があり、雪が体調が悪く入院して3ヶ月後が大切と言われた。
克之は、始めてヒット作を完成した時の雪の笑顔や、雪との結婚式に雪が中垣を呼び今も持っている万年筆を貰った事も思い出していた。
克之は、中垣を探すが勘当されて行方不明だったが登録していた同窓会サイトに、中垣からも返事があり急遽東京で同窓会を開いた。
<以下、隠し字>
現れた中垣(伊藤高史)は、女性に性転換しており、高校時代には友永雪にだけに真実を告げており、雪と中垣は共に克之が好きでいて、雪に招かれた結婚式で雪に昔克之から取った万年筆を譲ったと言った。
石川えりから、雪が同窓会にゆけなくなり克之に直ぐに来るように連絡が入った。 そして、・・・・・。
監督:サタケミキオ
脚本:サタケミキオ
出演:宅間孝行・永作博美・鈴木砂羽・二階堂智・うつみ宮土理・笑福亭鶴瓶
制作年:2008年感想: 冒頭の言葉を、そのまま表現した映画であり、作品中でも克之が同じ事を語る。
離婚から始まり次々起こる災難と、幸福だった高校時代から妻との結婚の頃の思い出にしたりながら、現在に対処しようとするが、沢山の勘違いと食い違いが重なり、喜劇になって行きます。
(2012/08/25)
- 武士の家計簿
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明治10年、猪山成之(伊藤祐輝)は海軍会計局で父・猪山直之(堺雅人)が家計・計算した手紙を受け取り、間違いがある筈が無いと思った。
天保年間金沢、加賀藩・御算用者で代々藩の財政に関わってきた猪山家の猪山信之(中村雅俊)は、息子で八代目の直之(堺雅人)を見習いとしたが天才的で「算盤馬鹿」とさえいわれて、めきめきと頭角を表した。
帳簿の間違いにも気づき、直之にも給金が出るようになり、町同心・西永与三八(西村雅彦)の娘・お駒(仲間由紀恵)との縁談がでた。
直之は年貢米の帳簿が合わない事を気づき、調べ始めたが上司は無視した。
直之と駒の婚儀が行われ、初夜に婚礼の費用を計算する直之は駒に「自分は算盤しか出来ず、不器用で出世もない」と言った。
朝早くから働く駒に母・常(松坂慶子)は程ほどにとたしなめ、そしてしばらくして駒は直吉(大八木凱斗)を産んだ。
直之は御蔵米の勘定役にされたが、お救い米と供出量との数字が合わないことから、役人の米の横流しを知ったが、隠蔽の為に輪島左遷を言い渡されたが百姓一揆で悪事が判り人事が変わり左遷から異例の昇進になった。
直吉の4才の祝いに費用が足りないと駒から聞いた直之は、祝いを絵の「にらみ鯛」で行い、猪山家の膨大な借金を無くす為に「家計立て直し」を宣言した。
家財一式を処分して借金の返済に充てたが、愛用品を手放したくない母・父・おばばさま(草笛光子)はとまどうが、家を潰す方が恥という直之の説得で実行された。
そして生活も質素倹約を始めて借金返済を目指し、猪山家の家計簿を直之はきめ細かく付け始めた。
直之は息子・直吉にも御算用者として教え始め、家計簿もつけるよう命じた。
信之が死去した時も直之は葬式費用を計算し、直吉の家計簿の4文の不足を補う事を命じた。
おばばさまが死去し、次いで母が病気になると駒は質の着物を受け出し、ようやく借金が無くなったと言った。
直吉は直之より早く御算用者になり元服して成之になり、政(藤井美菜)と婚礼した。
時は幕末になり、加賀に埋もれたくない成之は進む道を探しに京に向かった。
<以下、隠し字>
京で成之は、新政府軍の大村益次郎(嶋田久作)に見込まれ、軍の会計となったが大村が刺客の手により暗殺された。
一緒に死んだと言われた成之は無事で新政府で働いていたが、一時加賀に戻り父や母や妻と再会した。
その後、猪山家は東京に移った。
監督:森田芳光
脚本:柏田道夫
原作:磯田道史
出演:堺雅人・仲間由紀恵・中村雅俊・松坂慶子・草笛光子・伊藤祐輝・藤井美菜・西村雅彦
制作年:2010年感想: 異色の時代劇です。
刀ではなく、算盤と会計能力で江戸時代を生き抜いた父と、明治維新を同じく生きた子を中心に家族を描きます。
家計簿と算盤と会計の知識がどの」時代でも有用であり、独自の知識で生きるすべを見つける人を表に出した。
(2012/08/31)