鑑賞日記(2012/04)
- 蒲田行進曲
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時代劇「新撰組」を制作中の京都撮影所で、土方歳三役の倉岡銀四郎・「銀ちゃん」(風間杜夫)はライバルの立花(原田大二郎)役の坂本龍馬の出番が多く不満だった。
銀ちゃんに憧れているのが大部屋俳優の村岡安次・ヤス(平田満)だった。
銀ちゃんは主役と思っているので見せ場がなく、「池田屋騒動」での『階段落ち』が人命尊重で、やる者がいないので無くなりそうと監督(蟹江敬三)に言われ落ち込んだ。
酔った銀ちゃんが帰ると、女優の水原小夏(松坂慶子)がいた、身のまわりの整理を会社から言われていたので困った。
ヤスのアパートに銀ちゃんが、小夏を連れて来て子供を身ごもりスキャンダルになるのでヤスと一緒になり、ヤスの子供として育ててくれと言い、ヤスは承諾した。
銀ちゃんは、朋子(高見知佳)という若い女に夢中だった。
小夏が妊娠中毒症で入院し、ヤスは撮影所で金になる危険な役を多く引き受けた。
小夏が退院してアパートに戻ると家具と電化製品が揃い、代わりにヤスのケガが目立った。
自主性のないヤスが不満だった小夏の心が動き始め、銀ちゃんの部屋の掃除のあとに鍵を残し別れた。
ヤスの郷里から呼ばれて母親(清川虹子)へ挨拶し、プロポーズをヤスに迫り結婚を決めた。
小夏の前に銀ちゃんが来て、朋子とも別れ仕事に行きづまり小夏との結婚を望むが小夏は断った。
撮影をサボって落ち込む銀ちゃんにヤスは「『階段落ち』をやる」と励ました。
『階段落ち』は、斬られた役者が長い階段をころげ落ちる危険な役だった。
ヤスは銀ちゃんを励まそうと必死だったが『階段落ち』撮影の日が近づくとヤスの心に徐々に不安が広がった。
小夏はヤスの気持を知り漸く心が通じるが、逆に無事でいてもらいたかった。
<以下、隠し字>
撮影で、銀ちゃんはヤスの態度に怒り殴りつけ、ヤスは我に帰った。
撮影所の門の前で、心配で駆けつけた小夏が倒れた。
『階段落ち』はヤスの一世一代の演技で終った。
小夏がベッドの上で気がつくと、傷だらけのヤスに赤ん坊が抱かれていた。
そして、・・・・。
監督:深作欣二
原作:つかこうへい
出演:松坂慶子・風間杜夫・平田満・高見知佳・原田大二郎・清川虹子
製作年:1982年
感想: 映画撮影所自体が舞台の異色作品だ。
主役級俳優とそれを取り巻く大部屋俳優の生き方を描く。
その間に2人に挟まれたが次第に大部屋俳優の生き方を理解してゆく元女優が双方と自分を見守る。
(2012/04/03)
- 飢餓海峡
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昭和22年9月20日10号台風の進路予想がはずれて連絡船・層雲丸が沈没して大災害になった。
3名の男が函館を目指し、台風で停車した列車から降りて歩き始めた。
青函連絡船惨事の救出中に函館警察刑事・弓坂吉太郎(伴淳三郎)は3名に会い、男達は船を盗み対岸に向かった。
北海道岩内で質店一家3人が惨殺され、犯人は放火して姿を消し大金が奪われていた。
救出後に弓坂は引取り手のない2つの死体に疑惑を感じ、船客名簿にもなく別の場所から流れて来たと思えた。
2名は岩内事件の犯人と似ており、事件の3日前朝日温泉で質屋の主人は、網走を出所した強盗犯・沼田八郎(最上逸馬)と木島忠吉(安藤三男)と犬飼多吉と名のる大男と同宿していた。
岩内警察からの事件の報告は、弓坂に確信をもたせた。
弓坂は船が盗まれた事を聞き、青森県下北半島に行き船を焼いた跡を発見した。
犬飼は、杉戸八重(左幸子)に出会った、彼女は貧しい家庭で芸者になり、彼女の後を追った犬飼は、八重に34000円の金を手渡した。
八重は自分の切ってやった恩人の爪を持っていた。
八重に犬飼の件で弓坂が来たが、八重はかばって知らないと言い、借金を返済し東京へ発った。
写真鑑定で死体は沼田・木島であり逃亡中に犬飼に殺害されたと推定された、八重を追って弓坂も東京に行ったが発見出来なかった。
八重は最終に娼婦になっていたが犬飼を見つけた、舞鶴の澱紛工場主・樽見京一郎(三國連太郎)が、刑余更生事業資金に3000万寄贈したという新聞だった。
名前が違ったが、礼を言いたくて訪問するが樽見は否定し口論中に八重とそれを見た奉公人の竹中を殺した。
八重と竹中は、舞鶴で心中死体となって発見されたが偽装殺人とみなされた。
東舞鶴警察の刑事・味村時雄(高倉健)は女の懐中から新聞の切り抜きを発見した。
八重の父・長左衛門(加藤嘉)に会った味村は、10年前八重が弓坂の追求を受けたと聞き、北海道に行った。
<以下、隠し字>
弓坂は樽見が犬飼と確信して舞鶴へ同行し、弓坂と味村は舞鶴に帰り樽見を尋問したがしらをきった。
八重が記念に残した犬飼の爪と、34000円を包んだ岩内事件の古新聞から、樽見は岩内事件は2人が行い、海の事件は正当防衛で現金の盗みだけといった。
北海道の事件は無罪で八重殺しの動機もないと言い、弓坂は船を焼いた灰を見せて信じるかどうかは、警察が樽見の証言を信じるかどうかと同じと言った。
樽見は北海道に行きたいと言った・・・。
監督:内田吐夢
脚本:鈴木尚也
原作:水上勉
出演:三國連太郎・風見章子・左幸子・加藤嘉・伴淳三郎・高倉健
製作年:1965年感想: 白黒でワイド画面という珍しい映像でしかも3時間の長さだ。
倒叙形式のミステリ形式だが、警察の捜査過程と貧しかった犬飼と八重の考えとあがきが強く表現される。
信じるかどうかの、謎が続く。
(2012/04/09)
- あずみ2 Death or Love
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浅野長政・加藤清正を暗殺した徳川の刺客・あずみ(上戸彩)とながら(石垣佑磨)は清正の配下・井上勘兵衛(北村一輝)の追っ手から逃げていた。
勘兵衛は復讐のため、真田昌幸(平幹二朗)・幸村(永澤俊矢)・上野甲賀衆の天如(高島礼子)に会った。
あずみ・ながらは野盗金角(遠藤憲一)と銀角(小栗旬)らに出会うが、銀角はあずみが使命の為に自ら殺した初恋の相手・なち(小栗旬)とそっくりだった。
家康の側近・天海(神山繁)と半蔵(宍戸開)と配下のこずえ(栗山千明)と会うが、真田昌幸を探りに出した者は上野甲賀衆に殺された。
金角・銀角らは真田の配下に入るがあずみに会い寝返り、孤児を育てるよね(根岸季衣)と千代(前田愛)と子供に会わすが刺客は嫌われた。
ながらの所に戻ったあずみは、こずえの案内で真田昌幸の九度山へ向かうが既に引き払い、上野甲賀衆と闘いになった。
金角・銀角にあずみを残して、ながらは刺客をやめるふりをしてこずえと離れるが、こずえは上野甲賀衆であり殺された。
上野甲賀衆と争った金角・銀角らとあずみは、銀角とあずみのみが残り、こずえが現れて真田方で戦うがあずみに敗れた。
残った上野甲賀衆は、あずみを殺すために土蜘蛛が陣空の術であずみにしびれ薬の傷をつけて死に、空如があずみを殺そうとしたが銀角と相討ちになった。
空如の仇としてあずみを狙う真田昌幸に、やりきれない怒りと悲しみを抱えたあずみが現れ闘いになった。
<以下、隠し字>
出会った天海は、あずみを残す取引に応じたが、戻った幸村は豊臣で軍を出しているのは真田のみで軍を引くべきと言った。
真田昌幸は私恨からあずみと闘い死ぬが、幸村は軍の手出しを止めた。
監督:金子修介
脚本:水島力也・川尻善昭
原作:小山ゆう
出演:上戸彩・石垣佑磨・栗山千明・小栗旬・遠藤憲一・永澤俊矢・神山繁・北村一輝・高島礼子・平幹二朗
製作年:2004年感想: 「あずみ」の続編です。
殆どが、刺客の使命のみを描いた前作よりは、あずみのなちと似た銀角への思いと、周囲の人が死んで行くやりきれなさを描く部分が多い。
大人数相手の立ち回りもあるが、全体には特定の術を持つ相手との闘いが多い。
不死身のようなあずみを、夜叉とよぶ相手や、相討ち狙いの相手もいる。
刺客のやりきれなさが強く出ている。
(2012/04/15)
- 行きずりの街
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郷里の丹波篠山で塾講師として働く波多野和郎(仲村トオル)は、元教え子・広瀬ゆかり(南沢奈央)の祖母が危篤だが連絡が取れなかった。
篠山にも誰かが、ゆかりを探しに来ていた。
東京麻布のゆかりの高級マンションを訪れた波多野は物色跡を発見し、名義の角田を探し始めた。
中込安弘(窪塚洋介)とその仲間も、ゆかりの行方を追っていた。
元ルームメイトに会った波多野だが角田ともに行方不明だった。
彩というバーに行った波多野は、ママと12年振りと話し、角田が来た事も知った。
敬愛女学園を訪ねた波多野に事務局の木村ミキは、波多野は元教師だったが生徒との恋愛で止めた事・角田経理部長も辞めている事・前理事長が1年前に事故死している事を話し、そこへゆかりが現れたが逃げられた。
敬愛女学園は理事の池辺(石橋蓮司)が新キャンパス移転と4年制大学開校の計画を進めており、波多野はかっての同僚の園部から事情を聞き、前理事長は池辺の秘密を知って殺された可能性を知った。
バー彩のママ・手塚雅子(小西真奈美)の母(江波杏子)に会った波多野は、12年前の雅子が19才での波多野への愛が本気であり今も忘れていないと言った。
ゆかりを探し六本木のクラブで波多野は、池辺(石橋蓮司)と遭遇し中込に痛めつけられたが、体を引きずりながらバー彩に辿り着いた波多野は雅子の部屋で12年前を取り戻した。
翌朝、ゆかりから連絡を受け出かける波多野に雅子は角田が置いていった鍵を渡した。
<以下、隠し字>
ゆかりと会い角田の別のマンションに行き、ゆかりから角田への思いが本当と言われた。
そこで池辺の秘密を暴く写真を渡されたが、中込らに襲われ学園の旧校舎に連れ込まれた。
ネガと写真の数が合わず、波多野とゆかりは攻められたが、中込が隠しておりそれで池辺を脅迫した。
監督:阪本順治
脚本:丸山昇一
原作:志水辰夫
出演:仲村トオル・小西真奈美・南沢奈央・窪塚洋介・石橋蓮司・佐藤江梨子・谷村美月
製作年:2010年感想: 主人公は悪と権力の犠牲を調べる結果になる。
しかし、全体は12年前を引きずる男と別の生活に没頭するが過去を忘れていない女の再会が中心だ。
塾の教え子を助けようとする男は、12年前に出来なかった事に拘りがあった。
(2012/04/21)
- 阪急電車 片道15分の奇跡
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OL・高瀬翔子(中谷美紀)は会社同僚の婚約者を後輩に寝取られ条件付きで別れた。
老婦人・萩原時江(宮本信子)は曲がったことが嫌いで、孫の亜美(芦田愛菜)に色々教えてきた。
高校3年・門田悦子(有村架純)は関学受験を目指していたが難しいと言われていた。
大学生・森岡ミサ(戸田恵梨香)は恋人カツヤ(小柳友)が直ぐ切れ暴れて困っていた。
主婦・伊藤康江(南果歩)は息子の友達のおばちゃんグループに誘われ断れずに困っていた。
大学生・小坂圭一(勝地涼)は軍事おたくで、周囲から浮いていた。
田舎から来た新入大学生・権田原美帆(谷村美月)も都会に馴染めていなかった。
ある少女は、周囲からのけ者にされていた。
往路・10月、宝塚駅から時江・孫と、康江が乗った。
宝塚南口駅から、ウエディングドレスの翔子が乗った。
翔子は元婚約者の結婚式招待を条件にし、花嫁より目立つ服装で出席して来た。
逆瀬川駅でミサたちが乗り込んだ。
時江は翔子の話を聞き、アドバイスをして疲れているから次の駅で降りて休む様に言った。
小林駅で翔子は降りた。
仁川駅で、カツヤが切れてミサを殴り去った、時江はミサに「相手はくだらない男であり、自分の意志で決められる様になれ」と言った。
甲東園駅で、悦子は関学の名前をみるとトラウマの様に落ち着かなくなった。
小坂と権田原が乗り合わせ、軍事おたくの小坂に権田原が感心し、他と異なる反応に互いに驚いた。
門戸厄神駅を過ぎた。
小林駅で休んでいた翔子は外に出て、服を買って着替えていた。
西宮北口駅で、権田原は小坂に愛想が悪かった事情を話して謝った。
復路・3月、西宮北口駅から翔子とミサと康江とおばちゃんグループと悦子が乗った。
<以下、隠し字>
ミサはカツヤとは友人の助けで別れていた。
ミサに「おばちゃんて最低」と言われた康江は胃痛を起こして、門戸厄神駅でミサと降りた。
ミサに世話を受けて、「価値観の違う人とは別れた方がよい」といわれた康江は決心した。
甲東園駅でも悦子は普通になったが、受験合格は無理に近いと言われ恋人で人はいいがアホな社会人の竜太(玉山鉄二)からやけになりそうな所を諭されて振り切れた。
権田原と小坂は、親しくなり時間と共に深まっていた。
時江は過去のトラウマだった犬を飼い、孫と逆瀬川駅から乗るがおばちゃんグループのふるまいに怒り終点まで説教をした。
小林駅周辺に住んで会社を変わってやり直し始めた翔子は、自分と似たふるまいの少女と出会い励ました。
遅れて着いたミサと出会い、「人生の機微を味わいたい」とふたり出かけた。
監督:三宅喜重
脚本:岡田惠和
原作:有川浩
出演:中谷美紀・戸田恵梨香・宮本信子・南果歩・芦田愛菜・勝地涼・谷村美月・有村架純・玉山鉄二
製作年:2011年感想: 多数の悩みをもつ人間が登場する。
それが、10月の宝塚から往路で全員が出会い、多くは変わるきっかけをつかむ。
5ヶ月後の翌3月に、西宮北口からの復路で、変われた人はそのドラマを、まだ迷う人は変わるきっけけを掴む。
(2012/04/27)