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鑑賞日記(2011/12)

里見八犬伝

百年前に城を奪われた蟇田定包の子で悪霊で不死身になった玉梓(夏木マリ)と子・素藤(目黒祐樹)は里見一族を滅ぼそうとしていた。
里見成義の一人娘・静姫:(薬師丸ひろ子)は叔父のもとへと逃げていた。
静姫は、犬江親兵衛(真田広之)と出会うがまた追われ、次に犬山道節(千葉真一)と犬村大角(寺田農)に助けられ、絵巻物を見せられた。
里見義実が蟇田一族を滅し、玉梓の呪いで息女・伏姫(松坂慶子)が飼犬・八房と懐妊し胎内より「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の字を刻んだ霊玉が出たとあった。
道節と大角は霊玉を静姫に見せ「霊玉を持つ他の六人を探し、静姫が素藤と戦わねばならない」と言い、同士探しを始め少しずつ犬士が集まり静姫は共に戦うことを決意した。
親兵衛は仕掛けた罠で静姫をさらった、賞金稼ぎ目的だが国の荒廃と侍の無法を見て動揺した。
玉梓の家来に静姫が発見された時、親兵衛はかばい鐘乳洞に逃げて、静姫が笛を吹くと同志を加えた道節らとあった。
親兵衛を信じる静姫だが霊玉がなく別れ、親兵衛は玉梓に捕まり城で腕のアザから玉梓の子の転生であると知らされた。
司祭・幻人(汐路章)に悪人にされたが、素藤配下の犬飼現八(大葉健二)は仲間を倒し、親兵衛を連れて城を脱出し、懐の霊玉に導かれ静姫の所に着いた、七人目の犬士だった。
悪人にされた親兵衛が目を覚まし静姫を襲い犬士達と戦いになるが、静姫は心で親兵衛に向かい合った。
<以下、隠し字>
閃光で気を失った親兵衛が気がつくとアザが消え、手に霊玉があった。
愛し合う二人の前に、大蛇があらわれ、静姫を巻き玉梓が連れ去った。
八犬士に伏姫の「この矢を的に向って静姫に引かせよ」という声が届いた。
八犬士は城に向い、一人ずつ倒れながらも素藤一味を倒して行き、素藤・玉梓・静姫にたどりついたのは、親兵衛と道節のみだった。
道節は自ら追手の盾となり親兵衛は静姫を助けた、静姫は矢を放ち玉梓はミイラになり城は崩れた。
親兵衛は静姫を叔父の城へ送り別れた。
親兵衛が七犬士達の墓にいると馬に乗った静姫がやってきて、七犬士の声に押されて二人は旅立った。


監督:深作欣二
脚本:深作欣二・鎌田敏夫
原作:鎌田敏夫
出演:薬師丸ひろ子・真田広之・千葉真一・目黒祐樹・寺田農・志穂美悦子・夏木マリ・萩原流行
製作年:1983年


感想: 特撮を多用して伝奇の世界を描く。
長い話を2時間あまりに、詰め込んだが内容的には判る。
多くの逸話が削られて、静姫と親兵衛の恋物語を中心にまとめた事が短くする事に成功した理由だろう。
結局は勢力争いと復讐の繰り返しだが、愛が勝ち残る事で終止符を打つ形に出来た。
(2011/12/05)

黒いドレスの女

高速道路を歩いていた朝吹冽子(原田知世)はアキラ(藤タカシ)に声をかけられた。
競馬場で田村(永島敏行)と弁護士(時任三郎)が庄司(菅原文太)というヤクザを外国に逃がす相談をしていたが、庄司はアキラに腹を刺された。
冽子が見ていて、その夜田村のバーに、黒いドレスで現われ田村の義理の妹・三井葉子(藤真利子)の知合で店で働きたいと言った。
田村は冽子の荷物に葉子が冽子に渡した拳銃を発見し、また庄司もバーに来て冽子と同居した。
田村は相棒の立岡(室田日出男)と庄司の逃亡ルートを捜すが、数人のヤクザが冽子探しに来て、冽子はバーから逃げた。
冽子はディスコでアキラと再会、庄司を狙う理由を聞き逃亡ルートが罠と知り、電話で田村に知らせた。
葉子の家を訪れた田村は、冽子が7年前妻を殺したと思う弁護士・野木原(中村嘉葎雄)に追われていると聞く。
刑事・大野(成田三樹夫)からも、冽子の義父・英一郎(橋爪功)の不審死で冽子を追っていると聞く。
庄司は、葉子の家に匿まわれ、彼女は英一郎の愛人だったと言った。
<以下、隠し字>
英一郎は野木原の不正金の流れをメモしていて、メモの隠し場所を知っているのが冽子だった。
冽子は田村に、メモを野木原に売ると言い、冽子は英一郎といたマンションでメモを取り出した。
葉子がメモを渡せと冽子に拳銃をむけ、英一郎は葉子が転落死させたと告白、その後に庄司と葉子は相討ちして死んだ。
翌朝、野木原と田村の元同僚・和久田(本間優二)と、田村と冽子は取引を始めるが・・・。


監督:崔洋一
脚本:田中陽造
原作:北方謙三
出演:原田知世・永島敏行・菅原文太・藤真利子・時任三郎・成田三樹夫・室田日出男
製作年:1987年

感想: 複数の謎と秘密と組織が乱れ登場するハードボイルド小説の映像化です。
その中に現れた、ヒロインが時として全体を動かす。
冽子は、多様な服を着て登場するが、黒いドレスの時が少女から小悪魔になるイメージがあるのだろうか?。
黒いドレスの場面は意外と少ない。
入れ組んだ絡みと、収束はサスペンス・ミステリの醍醐味だろう。
(2011/12/11)

D坂の殺人事件

昭和2年、東京市本郷区団子坂にある古本屋・粋古洞の女将・須永時子(吉行由実)は、伝説の責め絵師・大江春泥の「不知火」の雁作作りを蕗屋清一郎(真田広之)という修復師に依頼した。
蕗屋は、「不知火」の雁作をふたつ作り、本物は燃やし、ふたつの雁作を時子に渡した。時子は、続けて春泥の「明烏」を作る事を蕗屋に依頼した。
見本がなく、吉原の遊女の折檻を描いた「明烏」の雁作作りは、蕗屋も難かしかった。
時子の送ったマユミ(大家由祐子)をモデルにしても描けなかった。
蕗屋はマユミの衣裳を着た自分の鏡に映る姿を見て「明烏」を完成させた。
蕗屋の「明烏」に、時子は満足して2日後に代金を払うと言い、「明烏」のモデルが芸者の時の自分と言った。
蕗屋は雁作を作り、本物を捨てていたからモデルの存在は許せなく、代金を受け取りに粋古洞を訪れた二日後、時子を絞殺した。
蕗屋が去った後、店に戻ってきた従業員・斎藤(齋藤聡介)が時子の死体を発見したが、時子が盆栽に隠しておいた札束を盗んだ。
斎藤は殺人の容疑者で警察に逮捕されたが、予審判事の笠森(岸部一徳)は斎藤が時子殺害の犯人だとは思えず、蕗屋も疑っていた。
<以下、隠し字>
斎藤と蕗屋を嘘発見器を使い心理試験にかけるが、結果は斎藤が犯人であると示した。
笠森は、友人の明智小五郎(嶋田久作)に試験結果を見せた。
結果を見た明智は、蕗屋が犯人であると断言した。
心理試験の内容を、予測していた答えをしたと見たからだ。


監督:実相寺昭雄
脚本:薩川昭夫
原作:江戸川乱歩
出演:真田広之・嶋田久作・岸部一徳・吉行由実・大家由祐子・齋藤聡介
製作年:1997年

感想: D坂が団子坂と言う事は知られているが、イメージ以外は原作として使っていないようだ。 心理試験は、ほぼ原作の意図を使用している。 当時は先端だったのだろう。 陰獣に出てくる乱歩の姿といわれる大江春泥も登場し、乱歩の怪奇・幻想趣味を出しているが前半はオリジナルだろう。 昭和初期の雰囲気と、乱歩の怪奇・幻想趣味とは必ずしも結びつかない。
(2011/12/17)

日本海大海戦

19世紀末、ロシアは満州に兵を進め日本を狙っていた。
明治天皇(松本幸四郎)の御前会議で、ロシアに抗議したが返事はなく国交は断絶した。
連合艦隊司令長官東郷平八郎(三船敏郎)は、大西洋のバルチック艦隊と、旅順とウラジオストックの太平洋艦隊に気をくばった。
広瀬少佐(加山雄三)の旅順港口に老朽船を沈める奇策を採用した。
乃木軍司令官(笠智衆)の陸軍第三軍は、旅順要塞に陸上から攻撃した。
成果は少なく、ロシア艦隊を封鎖できず日本艦隊から逃げた。
欧州からバルチック艦隊出港が伝えられ、日本海に来ると判断した東郷は、連合艦隊を訓練と休憩と修理のため内地に引上げた。
長期の戦闘後に旅順は、陥落した。
欧州で諜報活動をしていた明石陸軍大佐(仲代達矢)が、バルチック艦隊の航路が敵司令長官の一存で決まるという情報を得て、次の情報入手に動いたが入らなかった。
予定を過ぎた頃に、見張船信濃丸が五島列島沖にバルチック艦隊を発見した。
旗艦三笠に乗った東郷は、敵の直前を大曲転する「トーゴー・ターン」で攻撃した。
日本艦隊は勝利した。
東郷は勝っても「戦いの恐しさ」を感じていた。


監督:丸山誠治
脚本:須崎勝弥・丸山誠治・八住利雄
出演:三船敏郎・加山雄三・仲代達矢・松本幸四郎
製作年:1969年

感想: 歴史は勝者の記録という考え方は、古い時代については広まっている。
明治以降は、まだ史実が存在しているという考えがまだ主流に感じる。
従って、娯楽として割り切れない人もいると思える。
本映画も娯楽や部分的な史実以上を求めると、多種の意見がありそうだ。
ただ、戦闘シュミレーションや戦略面としてのみ見る事で、娯楽として楽しめる。
また、架空情報戦略シュミレーションとして見る事も可能と思う。
ミニチュア使用の特撮も楽しめる。
(2011/12/23)

隠し砦の三悪人

戦国時代に秋月家は隣国の山名家に敗れた。
二人の百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は、欲のもくろみがはずれて、山名の秋月残党狩のなかで彷徨っていた。
秋月と同盟の隣国・早川との境に、山名は関所・砦を築いていた。
太平と又七は偶然に、薪に隠された黄金を見つけ探しまわるが、侍と出会い連れて行かれた。
行先は秋月の隠し砦で、男は秋月家の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)であり、世継の雪姫(上原美佐)と数名の残党とこもっていた。
近くの泉に、薪の中に軍資金黄金二百貫が隠されていた。
六郎太は同盟国の早川領へ脱出したいが、国境を越えられなかった。
太平と又七がでまかせで言った、「山名領へ入りそこから早川領へ行く」事を決め、二人を利用しようとした。
六郎太は雪姫をおしにして、太平・又七と黄金を運んだ。
国境の関所を、六郎太は薪を拾ったと言い黄金を見て騒ぎが起こし通った。
木賃宿で六郎太は、姫の願いで、人買いに買われて行く秋月の百姓娘を救った。
出発した一行五人は、発見され六郎太と山名の侍大将・田所兵衛(藤田進)が槍で闘った。
結果、兵衛は六郎太の槍を太腿に受け、首をさしのべたが六郎太は無視した。
山名の火祭りを太平と又七は利用しようとした、太平と又七が躊躇したが六郎太は炎の中に薪を投げこんだ。
一行は、百姓たちと踊った。
翌朝、焼跡から金の延棒を拾い集めていた一行に山名方の山狩りが来た。
荷物を背負い山越えを目指すが、欲とあきらめで太平・又七は逃げた。
残りの3名(六郎太・雪姫・百姓娘)は山名に黄金と共に捕らわれた。
<以下、隠し字>

早川との国境の関所の牢にいた雪姫と六郎太に、兵衛が来た。
六郎太に負けたため、主君に弓杖で打たれたという。
姫は逃走を楽しんだと言い、火祭りの歌を歌った。
翌日、姫・六郎太・百姓娘の三人は、黄金をつんだ五頭の馬と共に縛られ馬で曳き出された。
兵衛が突然に、黄金をつんだ馬の方向を変えて早川領へ追った。
続いて六郎太たちの縄を切り、三人と兵衛は早川領へ逃げた。


監督:黒澤明
脚本:橋本忍・黒澤明・菊島隆三・小国英雄
出演:三船敏郎・千秋実・藤原釜足・藤田進・志村喬・三好栄子・藤木悠・上原美佐
製作年:1958年

感想: 題名が不思議だ。
別に何も起こらないし、三悪人とは誰だ。
欲ふかでひょうきんな太平・又七か、忠義に厳しい六郎太の事か。
悪人とは、言い過ぎか。
良運と不運が、次には逆になる展開の繰り返しが意表をつく。
太平・又七のやりとりと行動は、あまりにも面白い。
(2011/12/29)

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