鑑賞日記(2011/11)
- 駅 STATION
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1967年冬。
北海道警の警察官の三上英次(高倉健)はオリンピックの射撃選手に選ばれ練習が忙しく、それら色々で妻・直子(いしだあゆみ)と分かれた。
雪の銭函駅から直子と子供は旅立った。
凶悪犯の検問で、同僚(大滝秀次)が撃たれて死んだ。
1976年夏。
オリンピック強化コーチになった英次は、故郷で妹(古手川祐子)の嫁入りを見送った。
増毛駅周辺で、連続通り魔を追い、犯人として浮かんだ吉松五郎(根津甚八)を捕まえるため、妹のすず子(烏丸せつこ)を監視した。
警察官としらずに絡んだすず子の遊び友(宇崎竜童)としりあい、協力を受ける。
捜査陣が諦めかけた頃、すず子に連絡がはいり上砂川駅で吉松五郎を捕らえる。
無邪気でボーとしたすず子に騙されていたのだ。
1979年年末。
札幌勤務の英次だった。
人質を殺しながら立てこもる犯人たちを、ひとりでラーメン屋になって潜入した英次は殺して解決した。
正月に故郷の雄冬に帰る英次は、連絡船が欠航となり増毛駅周辺で足止めとなった。
そこには、すず子がまだ暮らしていた。
駅で誰かを待っていた女性・桐子(倍賞千恵子)の居酒屋「桐子」に入った。
飲んで話をしながら歳を超す二人はそれぞれ、思い出す過去があった。
連絡船で雄冬に帰った英次は、弟(永島敏行)から、東京で結婚せず暮らしている直子の事を聞く。
増毛駅に戻った英次は居酒屋「桐子」に行くが閉まっていた。
退職願いを書いて札幌に戻る英次は、桐子が待っていたのが手配犯である事を知り戻った。
そして、・・・。
監督:降旗康男
脚本:倉本聰
出演:高倉健・いしだあゆみ・根津甚八・烏丸せつこ・倍賞千恵子・古手川祐子
製作年:1981年
感想: オリンピックの射撃選手と刑事との激務を過ごす主人公は、いくつかの同僚の死と犯人の射殺の任務に出会う。
その中で、出会った3人の女性と別れを描く。
同時にいくつかの時間を経た偶然の再会をも描く。
別れが、主人公の行動による積極的な再会をもたらす事はなかった。
少なくとも、映画の中では・・・。
(2011/11/05)
- K-20 怪人二十面相・伝
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1949年、第二次世界大戦が回避されたもうひとつの日本の話。
華族制・財閥支配が続く帝都は、格差社会だった。
裕福な華族を狙う怪盗がおり、人々は彼を怪人二十面相、通称「K-20」と呼んだ。
有名な探偵・明智小五郎(仲村トオル)と華族・羽柴家の娘・葉子(松たか子)の結納が予定されていたが、羽柴家の絵画・バベルの塔を盗む予告があった。
貧民街のサーカス団のエース・遠藤平吉(金城武)は、敏捷であり謎の男(鹿賀丈史)から、明智小五郎と羽柴葉子の結納の儀の写真を盗み撮る事を依頼された。
依頼は罠で、正体がバレた平吉は、小林少年(本郷奏多)や浪越警部(益岡徹)から怪盗二十面相の嫌疑をかけられた。
指名手配で孤立した平吉の味方は、サーカス団の源治(國村隼)とその妻の菊子(高島礼子)だった。
二十面相から襲われた葉子は、助けた平吉の味方になった。
華族の葉子は、貧民たちの実態を知る事になった。
二十面相と対決しようと平吉は、変装や逃走の術を泥棒たちから学ぶ。
<以下、隠し字>
しかし、平吉は明智小五郎に捕らえられる。
葉子の説得で、明智たちは羽柴家の絵画・バベルの塔の秘密を知ろうとする。
その結果は驚くもので、それを巡り多くの謀略の正体が分かった。
そして・・・・。
最後に間一髪のところで、平吉は葉子に救われ、互いの立場を理解した平吉と葉子は、ともに愛情を持ちながら、別々の道を行く事を決意した。
監督:佐藤嗣麻子
脚本:佐藤嗣麻子
原作:北村想
出演:金城武・松たか子・國村隼・高島礼子・本郷奏多・仲村トオル
製作年:2008年感想: CGや特撮を多く使った実写版の映画です。
内容的には、パラレルワールドや世界征服が登場する現代風の味付けがあります。
底に流れているのは、少年物で書かれた怪人二十面相の世界です。
古き時代と現代の交叉が、どのように伝わるかは微妙な内容です。
特に実写版のメリットは何かは難しいです。
(2011/11/11)
- SHINOBI
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徳川家康(北村和夫)が江戸に幕府を開き、将軍職を退いた後も采配をふるっていた。
泰平の世を作る妨げになりそうな争いの元を排除していた。
1614年、隠れ里で男女が出会った、伊賀・鍔隠(つばかくれ)の朧(仲間由紀恵)と甲賀・卍谷(まんじだに)の甲賀弦之介(オダギリジョー)だった。
鍔隠と卍谷は、400年前から忍術・妖術の忍が住んでいた里で、共に敵対していた。
今は、戦を禁じられていて、両里は接触を避けていた。
朧と弦之介は、敵対する里の跡継ぎで恋に悩んでいた。
家康のそばの南光坊天海(石橋蓮司)は忍の危険を感じて、この二大流派を対決・自滅させようと家康と服部半蔵(松重豊)に進言した。
伊賀・鍔隠の党首・お幻(りりィ)と、甲賀・卍谷の党首・弾正(寺田稔)は、実力者5人ずつを選出して戦い、生き残ったひとりの忍を駿府に上らせ、次期将軍を決めると命を受けた。
伊賀側は、特異な眼を持つ孫の党首の朧・鍵爪を武器とする蓑念鬼(伊藤俊)・黒糸を操る夜叉丸(坂口拓)・毒蛾使いの少女の蛍火(沢尻エリカ)・齢三百歳の参謀の薬師寺天膳(椎名桔平)の5人だった。
甲賀側は、策士の室賀豹馬(升毅)・棒手裏剣の筑摩小四郎(虎牙光揮)・変身の術の如月左衛門(木下ほうか)・猛毒の息を吐く妖艶美女の陽炎(黒谷友香)・そして党首の弦之介の5人だった。
戦いの真意を疑う弦之介は駿府に行こうとするが戦いは始まった。
<以下、隠し字>
闘う事と党首を救う事を目的にする忍たちに、朧は運命だと知った。
精鋭が里を離れた後で、家康は柳生に隠れ里壊滅を命じた。
最後に2人になった朧と弦之介だが、朧は妖術の眼を使えず、弦之介はわざと刃を避けずに討たれた。
弦之介は、朧に隠れ里の運命を託し、朧は駿府城に現れた。
そして、・・・。
監督:下山天
脚本:平田研也
原作:山田風太郎
出演:仲間由紀恵・オダギリジョー・黒谷友香・椎名桔平・沢尻エリカ・りりィ・坂口拓・升毅・虎牙光揮
製作年:2005年感想: 山田風太郎の「甲賀忍法帖」は設定と個人の持つ術の設定が人気であり、後に多くの追随を出した。
本作品も、一部を除いては原作と細部は異なるが、キモの部分は同じである。
選ばれた精鋭の極限の争いとその無駄な目的が悲壮感を持つが、忍法という奇想がそれを娯楽に変える。
運命は変える事は出来ないのか、それは個人では決められない問題なのか。
(2011/11/17)
- 半落ち
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元捜査一課警部・梶聡一郎(寺尾聰)は警察署に出頭して、2日前に妻の啓子(原田美枝子)を自宅で絞殺したと告げた。
子供を白血病で亡くし、半年前からアルツハイマー病を発症した啓子の看病のため警察の部署を変わっていた。
取り調べた捜査一課・志木和正(柴田恭兵)も、2日間だけは固く口を閉ざす「半落ち」の状態に困惑した。
不祥事として早期決着を図る上層部(石橋蓮司)との間で、志木は「空白の2日間」の謎に執着した。
検察庁の佐瀬銛男(伊原剛志)は証言の偽装に気づくが、検察内不祥事で悩む警視正・小国(西田敏行)等の意見で追求は断念した。
啓子の姉・島村康子(樹木希林)は、「啓子は聡一郎を恨んでいないと思う」といった。
東洋新聞の記者・中尾洋子(鶴田真由)は、上司・片桐(田辺誠一)との意見の違いもあったが、事件を追った。
弁護士・植村学(國村隼)は、妻(高島礼子)や娘の前で大きな事件を扱うと言うが、梶聡一郎から証言が取れない。
刑事の志木、検事の佐瀬、記者の中尾、弁護士の植村たちは、個別に2日間の謎を追った。
裁判官の藤林圭吾(吉岡秀隆)は判決文を書く担当だが、自ら妻・澄子(奥貫薫)とアルツハイマー病の父・圭一(井川比佐志)を介護していて複雑だった。
<以下、隠し字>
島村康子から得た啓子の日記、梶夫妻の子供の担当医・高木(奈良岡朋子)の証言、数年前の新聞の切り抜き、聡一郎の所持品のティシュの出所などから、2日間の謎が次第に明らかになった。
ただ、梶聡一郎の真意は推測だった。
最終弁論で、多くが明らかになり、判決がおりた。
そして、・・・・・・。
監督:佐々部清
脚本:田部俊行・佐々部清
原作:横山秀夫
出演:寺尾聰・原田美枝子・吉岡秀隆・鶴田真由・國村隼・伊原剛志・西田敏行・田辺誠一・石橋蓮司・井川比佐志・高島礼子・樹木希林・奈良岡朋子・柴田恭兵・奥貫薫
製作年:2003年感想: 警察から裁判所までの、抱える多くの問題が背景として描かれます。
これ自体が大きなテーマです。
それに、報道というテーマが加わります。
そして、愛とは何かに、介護問題・医療問題などが絡んできます。
自身を含めて、人間は人間を裁けるか、個人は何のために生きるのか、色々な事を問いかけます。
(2011/11/23)
- 死刑台のエレベーター
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携帯電話で会話する時籐隆彦(阿部寛)と手都芽衣子(吉瀬美智子)がいた。
大佐と呼ばれる黒人が「魔女からのプレゼントだ」と、時籐に拳銃を渡した。
芽衣子は、大手企業・手都グループの手都会長(津川雅彦)の年若い妻だった。
時籐は、手都グループの国際医療ボランティア機構の主任医師だった。
夕方、時籐が手都会長を殺し、2人で逃げる計画だった。
国防長官の来日で横浜は人も車も交通規制され、手都会長は手都ビルにひとり残ることになっていた。
手都ビルの5階にある自分のオフィスに戻った時籐は、秘書に「しばらく電話を繋がないでくれ」と言い部屋の鍵を閉めた。
ベランダから6階にロープを渡して昇り、会長室に行き会長を自殺に見せかけ殺害した。
5階のベランダに降りるが、ロープを外すのに手間取った。
ロープをベランダに残しオフィスに戻った時籐は、秘書とともに手都ビルを出た。
同じ頃、手都ビルの近くで若い警官がチンピラたちと喧嘩になりピストルを盗まれた。
このキレやすい警官・赤城邦衛(玉山鉄二)が路地裏でうずくまっているのを、恋人・松本美加代(北川景子)が見つけた。
美加代は美容師で、時籐は彼女の顧客だった。
時籐は、車をビルの横手に止めエレベーターに乗り込んだ。
赤城は、チンピラたちがボスらしき男に駐車場で叱られているのを見つけた。
そのそばにいる女を見た赤城の表情が、変わった。
ロープを外して再びエレベーターで下に降りる時、ビルの消灯時間になり守衛(笹野高史)が電源を切り、エレベーターが途中で止まり闇になった。
チンピラたちのボスは、広域暴力団の組長・神健太郎(平泉成)であり、手都会長と数々の悪事をした仲だった。
神と女の乗った車が駐車場を出て行くと、赤城たちは時籐の車を盗み後を追った、美加代は見つけたライカのカメラに夢中になった。
芽衣子はカフェで時藤を待ちわびていたが、目の前を時籐の車が通り、助手席には若い女がいた。
芽衣子は不安になりながら、街をさまよった。
時籐は、エレベーターの床の小窓からシャフトへ決死の脱出を試みていた。
突然、電源が入ってエレベーターが動きすぐに止まった、エレベーター内に戻るしかなかった。 赤城と神、2組の男女は、箱根のコテージに到着し、チェックインの際に、美加代は時籐の名前をかたった。
神の情婦、朔美(りょう)は、かつて赤城の恋人だった。
朔美の挑発を真に受けた赤城は、神にピストルを向け撃ち殺し、激昂した朔美も撃ち殺してしまった。
<以下、隠し字>
箱根の殺人事件の宿泊メモで容疑がかかった時籐の捜査のため、刑事が手都ビルに駆けつけ、エレベーターが動いた。
時籐は刑事たちと入れ違いにビルから出て行くが、すでに事件は大々的に報じられていた。
間もなく刑事たちは手都会長の死体を見つけた。
横浜署の柳町刑事(柄本明)と恩田刑事(熊谷真実)は事件を調べはじめた。
そして、3組のカップルを知る物を見つけた。
監督:緒方明
脚本:木田薫子
原作:ノエル・カレフ
出演:阿部寛・吉瀬美智子・玉山鉄二・北川景子・平泉成・りょう・笹野高史・熊谷真実・柄本明
製作年:2010年感想: 原作は昔に読んだので、エレベーターの場面以外は忘れていた。
内容は、全編がサスペンスに満ちている。
細部は、かなりの偶然と矛盾があるが、サスペンス優先だろう。
主人公2人は、結局は何もせず・出来ずに、周囲の出来事に運命を振り回された形だ。
そして、心の中は想像するしかない。
(2011/11/29)