鑑賞日記(2011/09)
- 感染列島
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フィリピンで、感染病が発生して封じ込めで対応した。それから・・・。
いずみ野市立病院で救命救急医として勤務する松岡剛(妻夫木聡)が見た急患はインフルエンザと思えた。
翌日、再度夫婦で訪れた時は症状は全く異なりあらゆるワクチンが効かず、夫は死亡した。
これは、新たな感染症かという松岡たちの不安は的中し、同僚の医師である安藤(佐藤浩市)をはじめ、医療スタッフや他の患者たちにまで院内感染は広がり、病院内はパニック状態になる。
この謎の感染症の広がりの事態から世界保健機関は、メディカルオフィサーとして小林栄子(檀れい)を派遣する。
彼女は、かつての松岡の恋人でもあった。
栄子は病棟全体を隔離し、患者の症状によって治療の優先順位を決めていく。
ウイルスの感染は急激な速さで広がる。
患者の数は全国で数千万人を超え、増加していき死亡も増えた。
奇跡的に回復したのは、第一感染者の妻である真鍋麻美(池脇千鶴)等の少数だった。
近くで発生した鳥インフルエンザが原因の新型インフルエンザが疑われたが、確証は無かった。
日本は崩壊寸前にあり、交通機関も都市機能も停止しつつあった。
養鶏場の持ち主は、責任を感じて娘を残して自殺するが、その後で原因は別と分かる。
感染源を特定するため松岡は、ウイルス研究者である鈴木浩介(カンニング竹山)に法を破って検体を渡す。
<以下、隠し字>
英子と松岡は、麻美から東南アジアのアボンで医師をする父が最近帰って来て、その後連絡が取れないと聞き出す。
松岡と鳥インフルエンザウイルスの権威である仁志稔(藤竜也)は、南の島を訪れる。
そこで原因の伝染病を島に封じ込めた事を知る。
鈴木の研究と、島で見つけた検体から新ウイルスが見つかる。
だが依然、対策がないままに、看護婦の三田多佳子(国仲涼子)も、夫の英輔(田中裕二)と幼い娘を残して息を引きとった。
また、養鶏場の持ち主の娘や英子も感染した。
英子は、認められていない血清治療を行う。
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久
出演:妻夫木聡・檀れい・国仲涼子・池脇千鶴・佐藤浩市・藤竜也
製作年:2008年
感想: 未知のウィルスによる感染というパニックを描く。
鳥インフルエンザとの誤認、院内感染、国際問題に加えて、報道トラブル・政府の情報隠しや研究機関の権威化等の問題が絡む。
そして、献身的な医療従事者とその感染による多くの死が描かれる。
一方では、感染源探しもあるが、こちらは当事者医師が意外と簡単に見つける。
個々には、生じる事のバランスがとれていないが、多くを追い過ぎて無理だった様だ。
松岡と英子をはじめ、いくつかの家族・恋人・親子の死に分かれも描かれる。
個々の意味も異なるが、駆け足にならざるを得ない。
(2011/09/06)
- ゴールデンスランバー
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仙台で、樋口晴子(竹内結子)は夫・伸幸(大森南朋)を出張に送り出す。
晴子は学生時代に、青柳雅春(堺雅人)・森田森吾(吉岡秀隆)・小野一夫(劇団ひとり)と同じサークル・ファーストフード友の会に入っていた。
青柳は、少し前にアイドル・凛香(貫地谷しほり)を痴漢から助けて有名になり、暗殺事件の犯罪の犯人にしたてられようとしていた。
金田首相の凱旋パレード中に、ラジコンヘリ爆弾で暗殺事件が起きる。
その時宅配便ドライバー・青柳は、旧友森田と再会していた。
だが、妻子を人質にされていた森田は「お前は首相暗殺犯に仕立てられる」と青柳に言う。
突然警官が現れ、青柳に向かって拳銃を構え、森田は自動車ごと爆死した。
青柳は逃げ出したが、暗殺現場にいた証言や、ラジコン店に居る映像があり青柳は無実の暗殺犯に仕立てられていく。
警察庁警備局総合情報課課長補佐・佐々木一太郎(香川照之)は、仙台を交通封鎖して青柳を追い詰める。
マスコミも犯人として報道する。
青柳は小野一夫(劇団ひとり)を頼るが、携帯電話の盗聴で一夫は拷問にあい、警察に追われる。
青柳は、自分の会社の宅配員・岩崎英二郎(渋川清彦)に段ボールを手配して脱出を依頼する。
仙台から出られないので、人質の芝居で逃げのびる。
青柳は、逃亡中に整形した連続通り魔・キルオ(濱田岳)に出会い助けられる。
青柳の元恋人・晴子は、逃走車の準備をするが既に尾行されており、キルオに助けられる。
学生時代に4人は、花火会社・轟煙火でアルバイトしていたが、工場長・轟(ベンガル)は火薬が盗まれた事はないと否定する。
<以下、隠し字>
一夫の病院で、青柳と晴子は別々に裏家業の男・保土ヶ谷康志(柄本明)に会い、雨水管網が仙台の地下にある事を知る。
キルオは、警察に仕組まれた犯罪で青柳の偽物を整形手術で作ったと言う。
整形手術医師の情報で、偽物に会いにいくが偽情報で、相討ちになる。
青柳は、テレビ局の中継のなかで佐々木と会う約束をする。
裏家業の男は、準備と通路を教える。
だが、警察はテレビ中継も妨害して闇に青柳を殺そうとする。
裏家業の男は、晴子や轟煙火の息子や凛香に連絡して、救出を図る。
佐々木は青柳を撃つが、本人かどうかは不明だった。
監督:中村義洋
脚本:鈴木謙一・中村義洋・林民夫
原作:伊坂幸太郎
出演:堺雅人・竹内結子・吉岡秀隆・劇団ひとり・柄本明・濱田岳・渋川清彦・ベンガル・大森南朋・貫地谷しほり・香川照之
製作年:2009年感想: ユーモア・サスペンスになっている。
都合の良い人物が、適時に現れる。
警察組織の冤罪犯罪を逃げる主人公は、ブラックユーモアとノンストップサスペンスの融合だ。
マスコミのいい加減さも風刺しているようだ。
花火が印象的だ。
(2011/09/12)
- ALWAYS 三丁目の夕日
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昭和33年東京の下町・夕日町三丁目に、色々な人が住んでいた。
東京タワーは工事中だった。
春に集団就職で、自動車修理工場・鈴木オートに星野六子(堀北真希)が来た。
想像とは違って、六子はがっかりした。
鈴木則文(堤真一)が募集に見栄をはったのが原因だが、則文は六子の履歴書の「自転車修理」を「自動車修理」と読み間違えていた。
則文と六子とで喧嘩になるが、妻・トモエ(薬師丸ひろ子)や息子の一平(小清水一揮)の仲裁でようやく修まった。
鈴木オートの向かいの駄菓子屋に、店主兼しがない小説家の茶川竜之介(吉岡秀隆)が住んでいた。
茶川は居酒屋で飲んだ弾みで、石崎ヒロミ(小雪)から知り合いの子供・古行淳之介(須賀健太)をあずかってしまった。
淳之介は、茶川の書いた少年向けの連載小説に喜び、自分でも書こうとする。
町には、たばこ屋・大田キン(もたいまさこ)や、妻子を亡くした医者・宅間史郎(三浦友和)も住んでいた。
はじめから仕事を覚えはじめた六子は鈴木家に馴染みつつあったが、故郷に帰ろうとしなかった。
六子を元気付けようと、一平はもうすぐ家に「テレビ」がやってくる事を教えた。
念願のテレビが届いたその日は力道山の試合の日で、町中が集まった。
コンセントの接触不良で消えるが、茶川はバラバラにしてしまい、結局修理が必要になった。
忘れていて腐ったシュークリームを隠れて食べた六子は、食あたりになった。
それを機会に、鈴木家は冷蔵庫を購入した。
母の居場所を聞いた淳之介は一平と遠出するが会えず、しかも夜遅くに戻らず家族等を心配させた。
茶川はヒロミや淳之介が好きになり無理をしてプレゼントを購入するが、借金が多いヒロミは黙って町を離れた。
淳之介の父親が現れ、茶川は無理に淳之介と分かれようとするが・・・。
鈴木夫妻は、クリスマスプレゼントに六子へ青森行きの切符を送るが、六子は親に捨てられたと言って帰らない。
トモエは六子の知らない事を告げて・・・。
その年を色々な結果で迎える事になった各々は完成した東京タワーを見つめた。
監督:山崎貴
脚本:山崎貴・古沢良太
原作:西岸良平
出演:吉岡秀隆・堤真一・小雪・堀北真希・もたいまさこ・三浦友和・薬師丸ひろ子・須賀健太・小清水一揮
製作年:2005年感想: 昭和33年・・私の子供の頃だ。
東京と違うが、似た思い出がある部分も多い。
ノスタルジーという言葉がぴったりの時代と、作品だ。
細かい時間の前後は憶えていないが、確かに出会った風景がいくつかある事を思い出す。そんな映画だ。
(2011/09/18)
- 花のあと
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東北の海坂藩の組頭・寺井甚左衛門(國村準)は一人娘・以登(北川景子)に剣術を教えた。
以登は、男にも劣らぬ剣の使い手となった。
以登は、藩随一の剣士といわれ立ち会う機会の無かった江口孫四郎(宮尾俊太郎)と出会う。
以登は父の許可で孫四郎との試合が実現したが、完敗だった。
しかし孫四郎に対し憧れの感情が生じた。
しかし、片桐才助(甲本雅裕)という許嫁が決まっていた以登は想いを抑えた。
孫四郎は、男遊びの噂の絶えない内藤加世(伊藤歩)と結婚して、下級武士から藩の要職につく。
加世は、孫四郎の上役の藤井勘解由(市川亀治郎)と密会関係であった。
噂を恐れた藤井は、罠を仕掛けて孫四郎に役目での大失敗させる。
孫四郎は責任から切腹したが、それを聞いた以登は納得できなかった。
既に江戸から戻っていた片桐才助は、暢気で掴みどころがなかったが、どこか嫌いでは無かった。
<以下、隠し字>
以登は、才助に孫四郎切腹の疑問を相談した、才助は調べ始めたが次第に不義と汚職、孫四郎を貶めた事を掴み以登に話した。
以登は、その内容を手紙に書き、藤井と対決した。
藤井は3名の助太刀を隠していたが、以登は負傷を負いながらも3名と藤井を討つ。
藤井の不義と汚職が明らかになった。
しばらく後で、花見に行った以登は、ずっと花見をしていたという才助と会い、そこから帰る才助の後をついて行った。
監督:中西健二
脚本:長谷川康夫・飯田健三郎
原作:藤沢周平
出演:北川景子・甲本雅裕・宮尾俊太郎・伊藤歩・市川亀治郎
製作年:2009年感想: 藤沢周平作品での中心になる、立ち回りの場面は女剣士という設定でかなり、おとなしい。
しかし、以登・孫四郎・才助というそれぞれの生き方・考え方に主眼が移って女剣士が主人公という事で逆にこちらは深くなった。
才助という人物は掴みどころがなく、一見して謎にも見える。
隠し味か、あるいは主人公とも言えなくもない。
(2011/09/24)
- それでもボクはやってない
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フリーターの金子徹平(加瀬亮)は、会社の面接に向かう通勤ラッシュの電車の乗換え駅で女子中学生から痴漢と言われる。
無理に駅員に隔離され警察につれて行かれたが終始、否定した。
しかし、強引な聴取や留置される。
当番弁護士(田中哲司)は起訴や裁判のリスクを説明するが、行き違いが生じる。
起訴された徹平へ親友の斉藤(山本耕史)と母(もたいまさこ)が面会するが、誰も対処を知らない。
刑事事件弁護士・荒川正義(役所広司)に依頼し、須藤莉子(瀬戸朝香)が面会する。
告訴された為、目撃者探しを始める。
公判が始まり、検事(尾美としのり)の陳述は警察の聴取の内容から都合の良い事を抜き出した内容だったが、荒川は普通だと言う。
警察官聴取でも同様であった。
女子中学生の聴取が行われた。
その公判後に、徹平は保釈金を払い釈放される。
裁判官は冤罪防止主義だったが、途中で変わる、しばしばあると荒川は言う。
変わった裁判官(小日向文世)は裁判進行方法が異なる。
否定証拠が必要な弁護側は再現ビデオ制作、当番弁護士聴取・ようやく見つけた目撃者聴取を求める。
裁判官は、一部を認め多くは不要と判断する。
<以下、隠し字>
10回の公判が終わり、判決が出る。
有罪であった。
女子中学生聴取内容を有効として、それ以外は積極的な証拠とは判断出来ないとの内容だった。
徹平は、「それでもボクはやってない」と言い、控訴すると言う。
監督:周防正行
脚本:周防正行
出演:加瀬亮・瀬戸朝香・山本耕史・役所広司・竹中直人・小日向文世・もたいまさこ・田中哲司・尾美としのり
製作年:2007年感想: 容疑者からの視点で描いているが、そもそもは日本の、駅員・警察・検察・裁判所等の制度の問題点を指摘しています。
荒川は冷静に、刑事裁判の問題点と認識しているが一般人の他の人には理解できない。
判決内容は、検察の証拠ではなく、女子中学生聴取内容を採用しており、初期捜査を暗に無効としているが、被告の主張は無罪の根拠がないという不利な判断となる。
容疑を認めて罰金刑に従うと安価で苦労しない制度、それが当たり前とする警察から裁判までの制度自体の問題点を描く。
ただし、事件・裁判は被告側から描かれており、容疑内容の真実は映画内容では不明であると言える。
(2011/09/30)